基本情報

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若井 俊文

WAKAI Toshifumi


学系

医歯学系

系列

臨床医学系列

職名

教授

生年

1966年

研究室住所

新潟市中央区旭町通一番町757

研究分野・キーワード

消化器外科

メールアドレス

メールアドレス

研究室電話

025-227-2228

研究室FAX

025-227-0779

ホームページ

http://www.med.niigata-u.ac.jp/su1/

プロフィール

腫瘍外科学を専攻して以来、取り組んでいる研究テーマは「R0(遺残腫瘍の無い)手術の確立」です。基礎的研究により癌の進展様式・分布および“微小転移巣”の実態を解明し、腫瘍学的見地から根治性を向上させた術式を考案し、一貫して「術後の再発、癌遺残の根絶方法を開発して世界に発信する」という一念で研究を行っています。医学研究では、臨床における未解明な問題点を明らかにし、基礎研究とデータの積み重ねが重要です。研究志向を持ち、すべての研究は遠い将来であっても必ず臨床にフィードバックされるべきであると信じています。

出身大学 【 表示 / 非表示

  • 山梨医科大学  医学部

    大学,1992年03月,卒業,日本国

出身大学院 【 表示 / 非表示

  • 新潟大学  医学研究科

    博士課程,1999年03月,修了,日本国

取得学位 【 表示 / 非表示

  • 医学博士,外科学一般,新潟大学,課程,1999年03月

学内職務経歴 【 表示 / 非表示

  • 新潟大学 医歯学総合病院 集中治療部,助手,2003年10月 ~ 2005年03月

  • 新潟大学 医歯学総合病院 第二外科,助教,2007年09月 ~ 2008年03月

  • 新潟大学 医歯学総合病院 物流センター,助教,2009年04月 ~ 2010年03月

  • 新潟大学 医歯学総合病院 小児外科,講師,2010年04月 ~ 2012年12月

  • 新潟大学 医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻 機能再建医学,教授,2012年12月 ~ 継続中

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所属学会・委員会 【 表示 / 非表示

  • 日本外科学会,1992年04月 ~ 継続中,日本国

  • 日本消化器外科学会,1994年04月 ~ 継続中,日本国

専門分野(科研費分類) 【 表示 / 非表示

  • 消化器外科

取得資格 【 表示 / 非表示

  • 医師

 

研究経歴 【 表示 / 非表示

  • 早期DNA損傷修復機構の評価法に基づく胆管癌における表層拡大進展形成機序の解明,2012年04月 ~ 継続中

    DNA損傷修復,消化器外科学,個人研究,科学研究費補助金

    Wakai T, Shirai Y, Sakata J, Korita PV, Ajioka Y, Hatakeyama K.
    Early DNA damage response in residual carcinoma in situ at ductal stumps and local recurrence in patients undergoing resection for extrahepatic cholangiocarcinoma.
    J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2013;20(3):362-9.
    また、研究成果を11th World Congress oh the International Hepato-Pancreato-Biliary Association(Seoul)で発表した。

  • 胆管癌における53BP1を介したDNA損傷修復機構の解明及びその臨床的意義,2009年04月 ~ 2012年03月

    ,個人研究,科学研究費補助金

  • 肝細胞癌におけるCEACAM1発現欠失の機序及びその臨床的意義,2006年04月 ~ 2008年03月

    ,個人研究,科学研究費補助金

  • 抗サイトケラチン抗体を用いた十二指腸乳頭部癌のリンパ節微小転移巣検出及びその意義,2004年04月 ~ 2006年03月

    ,個人研究,科学研究費補助金

論文 【 表示 / 非表示

  • Prognostic analysis of submucosa-invasive gastric cancer with lymph node metastasis.,Hanyu Takaaki, Matsuki Atsushi, Kosugi Shin-Ichi, Ishikawa Takashi, Nashimoto Atsushi, Yabusaki Hiroshi, Aizawa Masaki, Ichikawa Hiroshi, Shimada Yoshifumi, Hirose Yuki, Wakai Toshifumi,Surgery,Vol.157,No.4, pp.716-722,2015年04月,英語

    DOI:10.1016/j.surg.2014.10.009,研究論文(学術雑誌),共著

  • Prognostic significance of promyelocytic leukemia expression in gastrointestinal stromal tumor; integrated proteomic and transcriptomic analysis.,Ichikawa Hiroshi, Yoshida Akihiko, Kanda Tatsuo, Kosugi Shin-ichi, Ishikawa Takashi, Hanyu Takaaki, Taguchi Takahiro, Sakumoto Marimu, Katai Hitoshi, Kawai Akira, Wakai Toshifumi, Kondo Tadashi,Cancer Sci,Vol.106,No.1, pp.115-124,2015年01月,英語

    DOI:10.1111/cas.12565,研究論文(学術雑誌),共著

  • Intrathoracic esophagojejunostomy using OrVil for gastric adenocarcinoma involving the esophagus.,Yajima Kazuhito, Kanda Tatsuo, Kosugi Shin-Ichi, Kano Yosuke, Ishikawa Takashi, Ichikawa Hiroshi, Hanyu Takaaki, Wakai Toshifumi,World J Gastrointest Surg,Vol.6,No.12, pp.235-240,2014年12月,英語

    DOI:10.4240/wjgs.v6.i12.235,研究論文(学術雑誌),共著

  • Clinical significance of perineural invasion diagnosed by immunohistochemistry with anti-S100 antibody in Stage I-III colorectal cancer.,Shimada Yoshifumi, Kido Tomoki, Kameyama Hitoshi, Nakano Mae, Yagi Ryoma, Tajima Yosuke, Okamura Takuma, Nakano Masato, Nagahashi Masayuki, Kobayashi Takashi, Minagawa Masahiro, Kosugi Shin-Ichi, Wakai Toshifumi, Ajioka Yoichi,Surg Today,2014年12月,英語

    DOI:10.1007/s00595-014-1096-9,研究論文(学術雑誌),共著

  • 消化器外科手術アトラス 胆嚢癌に対する拡大根治的胆嚢摘出術(Glenn手術変法),若井俊文,坂田純,田島陽介,廣瀬雄己,三浦宏平,滝沢一泰,永橋昌幸,亀山仁史,小林隆,皆川昌広,小杉伸一,小山諭,消化器外科,Vol.37,No.13, pp.1885-1894,2014年12月,日本語

    研究論文(学術雑誌),共著

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総説・解説記事 【 表示 / 非表示

  • 胆嚢癌に対する外科治療,若井俊文, 新潟医学会雑誌,Vol.128,No.4, pp.151-156,2014年04月,日本語

    総説・解説(大学・研究所紀要),単著

学術関係受賞 【 表示 / 非表示

  • 2010年度 日本胆道学会賞受賞論文,2009年09月,日本国,国内学会・会議・シンポジウム等の賞,日本胆道学会,若井 俊文

  • 国際肝胆膵外科学会講演学術賞,2008年02月29日,インド,国際学会・会議・シンポジウム等の賞,国際肝胆膵外科学会,Wakai T, Shirai Y, Sakata J, Korita PV, Ajioka Y, Hatakeyama K

科研費(文科省・学振)獲得実績 【 表示 / 非表示

  • 基盤研究(C),2014年04月 ~ 2017年03月,消化管間質腫瘍の発生部位と予後に関わる遺伝子の解析

    消化管間質腫瘍(Gastrointestinal Stromal Tumor:GIST)の中で悪性度が高い小腸原発GISTで、DNPH1遺伝子が特異的に後発現していることに着目した。DNPH1高発現は自律的細胞増殖と腫瘍化に関与することが知られている。そこで、「GISTにおけるDNPH1高発現は腫瘍の悪性度や分子標的治療の感受性に関与する。そして、GIST組織中のDNPH1発現の評価は、GIST患者の予後予測に有用である。」という仮説を立て、本研究を計画した。
    本研究の目的は、「GISTにおけるDNPH1遺伝子発現と腫瘍の悪性度や分子標的薬治療の感受性との関連を解明し、術後補助化学療法が必要な再発高リスク群の予測に有用な新規バイオマーカーを開発すること」である。
    平成26年度の研究実施計画
    1.初発GIST症例の外科切除検体におけるDNPH1遺伝子の発現形式の解析
    当科で外科的切除が施行された初発GIST症例の切除検体を用いて、DNPH1の発現をモノクローナル抗体による免疫組織化学染色によって検出する。平成12年から平成24年までの期間に手術を行った症例は胃原発が44例、小腸原発が18例であり、このうち十分な検体量を有する40症例を用いて検討を行う。初発GIST患者におけるDNPH1発現のと、原発臓器、腫瘍径、核分裂像、転移・再発有無との関連性を統計学的な手法を用いて解析する。
    臨床病理学的因子との関連性を検討することにより、悪性度や予後を予測するバイオマーカーとしての有用性を解明する。
    2.分子標的治療後に外科的切除を行ったGIST症例の検体におけるDNPH1遺伝子発現形式の解析
    メシル酸イマチニブによる分子標的治療後に外科的切除を行った症例の切除検体を用い、DNPH1の発現をモノクローナル抗体による免疫組織化学染色によって検出する。平成12年~平成24年までの期間に分子標的治療後の手術を行った症例のうち十分な検体量を有し、予後等の臨床情報が明確な症例20症例を用いて検討を行う。
    3.GIST細胞株におけるDNPH1遺伝子発現と腫瘍悪性度や分子標的治療感受性との関連
    平成26年度はGIST-T1細胞株におけるDNPH1遺伝子発現を強制的に調節するin vitro実験系の構築を行う。具体的には、GIST-T1細胞株のタンパク質を回収し、Western blottingのDNPH1のタンパク質発現レベルを評価する。DNPH1タンパク質発現が高い場合には、DNPH1遺伝子配列に相補的なsiRNAをトランスフェクションさせてDNPH1遺伝子発現を抑制する。また、計画通りにGIST-T1細胞株のDNPH-T1細胞株のDNPH1タンパク質高発現が得られない場合には、DNPH1 cDNAを組み込んだプラスミドを作成し、GIST-T1細胞株へ導入して、DNPH1遺伝子を過剰発現させる。それぞれの処理を行ったのち、DNPH1発現をWestern blottingにより確認する。
    平成27年度の研究実施計画
    1.2.初発GIST症例、および分子標的治療後GIST症例の外科切除検体におけるDNPH1遺伝子の発現形式の解析
    平成26年に引き続き、平成25年以降に新たに切除された症例の検体を用いて、DNPH1の発現をモノクローナル抗体による免疫組織化学染色によって検出する。予後や分子標的治療などの患者情報をアップデートして解析を行う。具体的には、本研究の予想される結果として示した「GIST腫瘍組織中のDNPH1発現が上昇している症例の無再発生存期間は短い。」が正しいかを評価する。また「GISTの分子標的治療に対する感受性にDNPH1遺伝子が関与している」かも併せて評価を行う。
    2.GIST細胞株におけるDNPH1遺伝子発現と腫瘍悪性度や分子標的治療感受性との関連
    DNPH1発現を調節した細胞と未処理の細胞の悪性形質を比較する。細胞増殖能の評価にはMTTアッセイを用いる。ELISA用のマイクロプレートリーダーを用い、フォルマザン産物の吸光度を測定し、継時的な細胞生存を測定することで、細胞増殖能を評価する。浸潤能の評価にはマトリゲルチャンバーを使用する。基底膜を模したマトリゲル上に無血清培地に混濁したGIST-T1細胞を播種し、マトリゲル下に血清を添加した培地を入れて培養を行う。マトリゲルを通過した細胞数を計測し、細胞浸潤能を評価する。また、同細胞に対してメシル酸イマチニブを投与し、細胞増殖の変化をMTTアッセイを用いて継時的に測定することで、薬剤感受性に対するDNPH1遺伝子発現の関与を明らかにする。
    平成28年度の研究実施計画
    1.2.3.初発GIST症例、および分子標的治療後GIST症例の外科切除検体におけるDNPH1遺伝子の発現形式の解析、およびGIST細胞株におけるDNPH1遺伝子発現と悪性度、治療感受性との関連を解析する。
    4.解析結果の公表
    上記の検討、評価について英文論文を執筆し、oncology関係の雑誌に投稿する。

  • 基盤研究(C),2014年04月 ~ 2017年03月,膵癌における光線力学診断を応用した化学療法効果予測法の開発

    悪性度の高い膵癌の予後を改善させるために、化学療法剤の効果予測は非常に重要であり、遺伝子解析・病理組織的評価法よりもさらに機能的な化学療法剤における実際の腫瘍内クリアランスを知る方法が望まれている。今回我々は膵癌患者において、アミノレブリン酸投与による腫瘍蛍光強度と化学療法剤奏功性が相関していることを見出した。アミノレブリン酸の代謝物と膵癌化学療法のキードラッグであるゲムシタビンの排出トランスポーターが同等であることがこの現象と関連していると考えられる。このことから着想した本研究は関連トランスポーター分子の発現性と腫瘍蛍光強度・化学療法剤奏功性との相関を証明することを目的とする。この研究により、腫瘍を蛍光させる光線力学診断を応用した低侵襲かつ精度の高い新しい化学療法剤効果予測法の確立が可能となる。

    平成26年度の研究実施計画
    <症例データの蓄積とアミノレブリン酸蛍光強度の定量化>症例をさらに増やし(30例を目標)、臨床データを蓄積する。これまでアミノレブリン酸の蛍光強度は、一定の光源を当てた際の視認レベルによっておおまかに(-)なし(+)弱蛍光、(++)弱蛍光の度数評価をしていた。しかし今後、蛍光強度と薬剤効果との相関をより客観的にみるためには、定量化した連続変数のほうが望ましい。現在、観察機器として現在腹腔鏡に特殊フィルターを使用して観察しているが、一定の励起光のもと、アミノレブリン酸内服から観察までの時間、観察臓器(腫瘍本体、リンパ節、腹膜など)、被写体距離、腫瘍サイズも考慮し、画像処理によって蛍光強度を数値化し、より客観的に検討できるデータベースを作成していく。術後化学療法に関するデータを加え、より客観的に解析を可能にし、さらに臨床的に応用可能できるデータベースの作成を行う。
    <固定標本に対する免疫染色>アミノレブリン酸の蛍光強度(PP IX蓄積性)とゲムシタビンの代謝の相関を検討するため流出入に関わるトランスポーター分子の発現性を見ておく必要がある。そのため、切除またはサンプリングされた固定標本においてゲムシタビンの代謝に関わる流入トランスポーター分子であるhENT-1、hCNT3、アミノレブリン酸の流入に関わるPEPT1と排出トランスポーター分子としてのABCG2に対して免疫染色を行い、それぞれの分子発現の程度を組織学的に確認する。
    <凍結標本に対する蛍光強度の確認>術中では組織の厚さや呼吸変動等により誤差のでやすい計測となることが考えられる。客観的かつ安定したアミノレブリン酸蛍光強度評価するために、凍結保存した標本を用いて一定の条件のもと、実験室においてアミノレブリン酸蛍光を計測する。また、凍結検体での蛍光強度の変化や保持の程度も確認する。
    <凍結標本に対するウェスタンブロッティング>先のトランスポーター分子の発現量を評価するため、採取した凍結標本を用いて先の固定標本で検討したトランスポーター分子にPEPT2、ABCG6も加え、ウェスタンブロッティングを行い、蛋白発現量と蛍光強度との相関を確認する。

    平成27年度の研究実施計画
    <膵癌細胞株による確認実験>標本を中心としたものでは、アミノレブリン酸の代謝経路とゲムシタビンの代謝、これまでの過去の報告から足がかりをつけるためにも細胞株を使った実験系での確認が必要である。我々のグループが現有する膵癌細胞株(Panc-1、MTA PaCa-2、AsPC-1)に対してアミノレブリン酸を培養液に投与、培養上の細胞群に405nmの青色レーザーを照射し、蛍光を確認する。膵癌細胞株から抽出した蛋白にて先のトランスポーター分子発現量をウェスタンブロッティングにて確認する。ゲムシタビンの細胞毒性を同時に確認し、相関性を検討する。
    <アミノレブリン酸とゲムシタビンのクリアランス相関を確認>化学療法剤の効果や毒性予測に関しては遺伝子的な評価によるものが多かったが、単独分子のみの発現をみるだけでは評価が難しい。将来的に手術前あるいは化学療法を中心に治療を行う際、標本に頼らず血液・尿などのすぐに採取できる生体サンプルのみでベースとなる生体個々の薬剤クリアランス機能をみることが可能になれば、臨床的に大きな貢献となる。この診断法を確立するための予備研究として、患者の同意を得た上で、アミノレブリン酸投与後の血中・尿中PP IXをHPLCにて計測することによって、PP IX量と化学療法効果に相関があるかどうかを検討する。

    平成28年度の研究実施計画
    平成27年度にひきつづき同様の確認実験を行う。

  • 基盤研究(C),2014年04月 ~ 2017年03月,蛍光免疫組織化学を用いた大腸pSM癌における簇出の生物学的評価及びその意義

    大腸粘膜下層浸潤癌(pSM癌)における簇出は重要なリンパ節転移のリスク因子である。筆者らはその増殖能に着目し、「大腸pSM癌の簇出において増殖期に入っている癌細胞の割合が高い病変は、領域リンパ節に転移を起こす確率が高く、大腸pSM癌内視鏡的摘除後のリンパ節転移予測因子となる」という仮説をたて、本研究を企画した。本研究の目的は、「大腸pSM癌の簇出を蛍光免疫組織化学(IF)で検出し、その増殖能の多寡によりリンパ節転移のある群とそれが極めて低い群とに分類すること」である。IFを用いることにより、大腸pSM癌の簇出を新たな視点から生物学的評価を行うことが可能となる。

  • 基盤研究(C),2014年04月 ~ 2017年03月,膵癌におけるBudding cancer cellの新たな生物学的評価法の確立

    膵癌腫瘍先進部で多くみられる細胞間接着能を失って孤立した癌細胞塊Budding cancer cellⅡ(BUD)の示す分子細胞学的特徴に着目し、「BUDは、細胞増殖能をもち周囲への浸潤を来たす細胞と、TUNEL法で証明されるアポトーシスへ誘導される細胞とに区別され、前者が腫瘍進展、転移に強く関与しており、それが予後不良の原因である」という仮説をたて、本研究を企画した。BUDのもつ細胞増殖活性に着目し、蛍光二重染色抗体法を用いることで初めてこの区別が可能となり、その細胞表面マーカーに代表される形質発現からBUDという現象を正確に評価できる。研究目的は、膵癌腫瘍先進部でのBUD形質発現から浸潤、転移に至る機序を解明することである。

    平成26年度の研究実施計画
    平成26年度は当科において1990年から2009年度に切除された通常型膵癌80症例を対象として以下の事項につき検討する。
    1)切除標本10例において、腫瘍の最大割面を中心に100μmの切片を作成する。これを抗サイトケラチン抗体による蛍光免疫組織化学(IF)にて標識し、当研究室に常備されている共焦点レーザー走査型顕微鏡にて立体構築像を作成して、BUDが癌腺管から離れた癌胞巣であることを視覚的に確認する。
    2)切除標本80例における腫瘍の最大割面を代表切片とし、倍率20x10の顕微鏡で腫瘍辺縁を観察して1視野あたりの最大BUD数をカウントする。BUDの定義は”癌発育先進部間質に浸潤性に存在する単個から5個未満の構成細胞からなる癌胞巣”とする。また、BUDを明瞭化するための抗サイトケラチン抗体を用いた免疫組織化学及びリンパ管、静脈侵襲と区別するための免疫組織化学(D2-40、victoria blue)を行う。
    3)その最大BUD数を確認した切片の連続切片において、抗サイトケラチン抗体及び細胞増殖活性を評価するための抗Ki-67抗体を用いた二重免疫組織化学を行う。さらにTUNEL法での蛍光免疫組織化学(IF)を用いることによりわずか数個のBUDでのアポトーシス検出を行うことができる。
    以上で、BUDの視覚的立体構造が確認でき、その構造が明らかになる。対象例のBUD数、BUDでの細胞増殖活性と細胞周期、アポトーシスを示唆するDNA断変化及び細胞増殖動態の病理学的データはすべて揃うことになる。
    膵癌の腫瘍先進部におけるBUDでの細胞増殖動態とその生存解析データより、BUD細胞増殖動態と予後との関連を解明する。

    平成27年度の研究実施計画
    平成27年度以降は2009年度~2011年度に切除された通常型膵癌20症例を対象として、前年度の1)~3)と同じ検討を行う。以上で膵癌切除例100例において必要なBUD評価、Ki-67を用いた細胞増殖能評価、病理学および分子生物学的データはすべて揃うことになる。
    さらに膵癌腫瘍先進部のBUDにおける細胞表面マーカーを検索し、E-Cadherinの欠失及びビメンチン発現を確認して、BUDにおいて上皮間質転換(EMT)が起こっているかどうかを解明する。膵癌における腫瘍組織進展や転移は、BUDでの細胞増殖能及びEMTがその原因であるかどうかの結論を出す。

    平成28年度の研究実施計画
    術前膵腫瘍生検材料においてもBUDを評価することは可能であり、生物学的予後を検討する上で有用な指標と成り得ることを検証し、既存の抗癌剤の感受性や耐性の機序との関係を分子生物学的に解析する。本研究の成果として、英文論文を執筆してoncology関係の雑誌への投稿ならびに国内・国際学会での発表を行う。

  • 基盤研究(C),2014年04月 ~ 2017年03月,食道癌術前補助化学療法抵抗性の分子機構における酸化ストレス系シグナル異常の解明

    進行食道癌に対する標準治療である術前補助化学療法の効果が認められない症例が存在するが、その分子機構については明らかではない。申請者らは、「食道癌腫瘍組織におけるp62-Keap1−Nrf2シグナル異常は術前補助化学療法抵抗性や食道切除後の予後に関与する。そして、治療前生検検体を用いたp62-Keap1-Nrf2シグナル異常の評価は、治療抵抗性や予後の予測に有用である。」という仮説をた立て、本研究を計画した。本研究の目的は、「食道癌における術前補助化学療法抵抗性の分子機構をp62-Keap1-Nrf2シグナルの観点から解明し、治療抵抗性や予後の予測に有用な新規バイオマーカーを開発すること。」である。

    平成26年度の研究実施計画
    【外科切除検体における腫瘍組織内p62-Keap1-Nrf2シグナル異常の解析】
    2000年から2013年までに当科で術前補助化学療法後に外科切除が施行された食道癌50症例を用いてp62、Keap1、Nrf2、Nrf2によって転写調節を受けるNQ01の発現を、それぞれのモノクローナル抗体による免疫組織化学染色によって検出する。申請者らがすでに行った術前補助化学療法後食道切除症例10症例に対するPilot studyの結果から、食道癌におけるNQ01の発現は治療抵抗性や予後を予測するバイオマーカーとして有望であると考えられる。また、NQ01の発現を直接制御しているp62-keap1-Nrf2シグナルは術前補助化学療法抵抗性の分子機構に関わっていることが予想される。したがって、本年度は臨床検体における術前補助化学療法抵抗性とp62-Keap1-Nrf2シグナルの関係を明らかにする。具体的には、NQ01に加えて、p62、Keap1、Nrf2の染色条件を検討し、対象症例を50例に増やして、各分子の発現と臨床病理学的特徴、組織学的治療効果、患者予後の関係について統計学的な解析を行う。
    【治療前生検検体におけるp62-Keap1-Nrf2シグナル異常の解析(後方視的研究)】
    2000年から2013年までに、当科で術前補助化学療法後に外科切除が施行された食道癌20症例の治療前生検検体に対して、p62、Keap1、Nrf2、NQ01のモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色法により、各分子の腫瘍組織における発現を検出する。各分子の発現と組織学的治療効果や患者予後との相関について統計学的な解析を行う。以上の臨床検体を用いた後方視的な検討により、食道癌術前補助化学療法抵抗性にp62-Keap1-Nrf2シグナル異常が関与していることや、シグナル異常の評価が治療抵抗性や予後を予測する新規バイオマーカーとして有望であることが示唆される。

    平成27年度の研究実施計画
    【治療前生検検体におけるp62-Keap1-Nrf2シグナル異常の解析(前向き臨床研究)】
    術前補助化学療法を施行する予定の患者から治療前生検検体を採取する。平成26年度に確立された染色法に従って、p62、Keap1、Nrf2、NQ01の発現を調べる。さらに、再発の有無や再発部位、最終的な生存や死亡と死因を追跡し、生検検体における各分子の発現と予後との相関を統計学的に検討する。この治療前生検検体の採取が単一施設では不十分と判断された場合は、新潟大学医歯学総合病院の関連施設に協力を呼びかけ、多施設共同研究として本研究を遂行する。以上により、p62-Keap1-Nrf2シグナルを軸とした食道癌術前補助化学療法抵抗性や予後を予測する新規バイオマーカーが確立される。得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。

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担当授業科目 【 表示 / 非表示

  • 2016年度,消化器系,2016年04月 ~ 2016年09月,専任

  • 2015年度,消化器系,2015年04月 ~ 2015年08月,専任