医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻 機能再建医学 教授
医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻 機能再建医学 教授
学位
-
医学博士 ( 2002年1月 九州大学 )
経歴
-
新潟大学 医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻 機能再建医学 教授
2020年1月 - 現在
-
新潟大学 医学部 医学科 准教授
2018年4月 - 2019年12月
-
新潟大学 医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻 機能再建医学 助手
2002年4月 - 2003年8月
共同研究・競争的資金等の研究
-
小児良性固形腫瘍に対する免疫学的糖鎖解析法を用いた診断システムの開発
研究課題/領域番号:21K08661
2021年4月 - 2024年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
木下 義晶, 小林 隆, 高橋 良彰
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
小児の固形腫瘍は悪性疾患としては神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫、横紋筋肉腫などが代表的である。一方、血管腫、リンパ管腫、良性の奇形腫(以下、胚細胞腫瘍)などの良性固形腫瘍は時として鑑別診断が難しく、その臨床像も多彩で、症例によっては巨大で重要臓器や血管をまきこみ外科的治療が困難である。特異的な腫瘍マーカーはなく、診断は画像診断に頼らざるをえない。正確な診断がつかなければ治療の導入が遅れ、良性腫瘍とはいっても時として予期せぬ転帰をたどることがある。良性腫瘍であるため、本来、外科治療が中心になるとされてきたが、近年外科治療以外の治療法として分子標的治療など様々な内科的治療の研究が進んでいる。本研究ではそれぞれの小児良性固形腫瘍の発生起源として候補に挙がっている遺伝子産物である糖鎖抗原蛋白を血清学的に診断可能にする免疫電気泳動法と質量分析法を用いた非侵襲的新規簡易診断システムの開発を目的とする。
実際の研究の進め方に関しては、①小児良性固形腫瘍疾患および小児悪性固形腫瘍疾患を対象とした画像診断学的評価とGlut1, Podoplanin, Glypican3を用いた免疫組織学的解析、②特異的糖鎖抗原の同定とモノクローナル抗体の作製、③免疫電気泳動法による血清中のGlut1, Podoplanin, Glypican3の分離測定と質量分析法による定量化、④血清Glut1, Podoplanin, Glypican3発現量の測定と診断システムの確立、の4つの段階に分けて進める。①、②、③を令和3年度、4年度、5年度に順次進め、④に関しては令和5年度以降から着手し、それ以後の年度への研究継続への実績とすることを目標とする。令和3年度においては臨床症例のピックアップと画像評価としてのpreliminaryなデータ収集と解析を行った。 -
致死的合併症であるIFALD予防を網羅した短腸症候群に対する新規細胞治療の確立
研究課題/領域番号:21K08639
2021年4月 - 2024年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
高橋 良彰, 木下 義晶, 小林 隆
配分額:4160000円 ( 直接経費:3200000円 、 間接経費:960000円 )
短腸症候群やヒルシュスプルング病類縁疾患のような腸管不全患者は、長期間中心静脈栄養を要することが多く、腸管不全関連肝障害(IFALD)を高率に発症し、致命的となる。そのため、早期に中心静脈栄養からの離脱が重要である。しかし、離脱可能かどうかに関しては症例毎によって違い、様々な因子が関係している。
昨年度は、まず、当科でフォローアップしている腸管不全患者について把握することを行った。中心静脈栄養からの離脱、IFALDの予防が重要であり、点滴離脱に関与する因子を明らかにすることを目的とした。離脱群と非離脱群に分けて、比較検討することとした。
当院でフォローアップしている腸管不全患者は8例認めた。5例が短腸症候群で3例がヒルシュスプルング病類縁疾患であった。点滴を離脱した症例は4例で、離脱できない症例も4例認めた。半数は点滴離脱できていない結果であった。離脱できていない症例のうち3例(75%)がヒルシュスプルング病類縁疾患であった。つまり、ヒルシュスプルング病類縁疾患は全例離脱できておらず、リスク因子であった。また、結腸切除を施行された症例も有意に非離脱群に多く認めた。残存小腸の長さに関しては、離脱群、非離脱群に有意な差は認めなかった。血液検査に関しては、アルブミン、コリンエステラーゼ、セレン、カルニチンは両群間に有意さは認めなかった。必須脂肪酸に関しては、非離脱群では有意に欠乏していた。
腸管不全関連肝障害に関しては、8例中5例に認めたが、ω3系脂肪酸投与などにより肝不全までは進行せず、生存していた。 -
セラミドによる免疫制御機構を応用した膵島移植における膵島生着延長の試み
研究課題/領域番号:20K21628
2020年7月 - 2023年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:挑戦的研究(萌芽)
提供機関:日本学術振興会
小林 隆, 木下 義晶, 松田 康伸, 永橋 昌幸, 三浦 宏平, 廣瀬 雄己, 油座 築, 諸 和樹
配分額:6500000円 ( 直接経費:5000000円 、 間接経費:1500000円 )
本研究はセラミドによる免疫制御機構を応用した膵島移植における膵島生着延長を試みる研究である。脂質メディエーターの一種であるセラミドがTリンパ球の一種である制御性T細胞の機能維持に重要であるとの知見(Nat Immunol 2016)を踏まえ、1型糖尿病に対する細胞治療である膵島移植において、セラミドによる制御性T細胞の活性化、機能維持により移植した膵島細胞の生着延長効果が認められるかどうかについて、検討を予定していた。しかしながら、昨年度はマウスを用いた自家膵島移植の系が十分に確立できず十分な研究の進捗が得られなかった。今年度は動物種をマウスからラットに切り替え、十分な膵島を採取することに成功した。採取された膵島を用いて自か膵島移植実験を行ったところ、年度前半に、概ねラットモデルでの自家膵島移植モデルが確立した。年度後半で予定したセラミド投与実験を行った。具体的には、自家膵島移植モデルをプラセボ群、セラミド投与群、グリコシルセラミド投与群の3群に分けて、局所免疫動態や膵島生着に関して、フローサイトメトリー、及び、免疫組織学的に解析を実施した。その結果、セラミド投与群、グリコシルセラミド投与群において、プラセボ群と比較し、明らかな生着延長効果は確認出来ず、本研究の仮説を証明することができなかった。しかしながら、動物種を変更したために投与量が過小になった可能性があったため、次年度では、投与量の変更を行い、セラミドに関する至適投与量を検討し研究を継続する予定である。
-
小児悪性軟部腫瘍におけるFOXM1と主要なシグナル伝達経路の標的分子としての評価
研究課題/領域番号:17K11512
2017年4月 - 2021年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
久田 正昭, 田口 智章, 木下 義晶, 宗崎 良太, 孝橋 賢一, 武本 淳吉
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
小児悪性軟部腫瘍は予後不良で、新たな治療標的が望まれる。Forkhead box M1 (FOXM1) は、現在主要な悪性腫瘍におけて新たな治療標的として最も注目されている分子の一つである。 我々の過去の研究において、小児悪性軟部腫瘍のうち、横紋筋肉腫と滑膜肉腫においてFOM1抑制が新たな治療選択肢となる可能性を示した。 今回の研究では、悪性ラブドイド腫瘍(malignant rhabdoid tumor; MRT)とFOXM1の関連性について研究した。MRT23例におけるFOXM1発現を評価し、MRT細胞株に対する研究においてもFOXM1は有望な治療標的である可能性が示唆された。
-
突然変異抑制遺伝子MTH1の小児固形悪性腫瘍における発現解析と新規治療への応用
研究課題/領域番号:17K11511
2017年4月 - 2020年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
武本 淳吉, 孝橋 賢一, 田口 智章, 木下 義晶
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
神経芽腫67例でMTH1および酸化ストレスによる遺伝子変異の原因とされている8-OHdGの免疫組織化学的染色を行い発現解析した。MTH1高発現症例は低発現群に比較し、有意に8-OHdG高発現症例が多い傾向にあり、神経芽腫において酸化ストレスによる遺伝子変異が生じていることが示唆され、修復機構としてMTH1が発現している可能性が考えられた。
しかしながら、他の遺伝子修復酵素であるOGG1、MUTYHにおける免疫組織化学的染色による解析では、MTH1、8-OHdGとの有意な関連は認められず、「MTH1抑制による細胞死の誘導」という仮説の立証はできなかった。 -
先天性横隔膜ヘルニアモデルマウス低形成肺に対する脱落乳歯歯髄幹細胞の有用性の検討
研究課題/領域番号:17K11513
2017年4月 - 2020年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
近藤 琢也, 田口 智章, 江角 元史郎, 木下 義晶
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究では、ニトロフェンを母体マウスに投与することで横隔膜ヘルニアモデルを作成し、幹細胞投与による治療効果を検討することを目標とした。妊娠8.5日のマウスにニトロフェン25mgを経口投与してモデルマウス作成を試みた。胎仔体重の減少など薬剤の一定の影響は認めたものの、横隔膜ヘルニアの胎仔での発生は全体の10%程度と非常に少ない状況であることが確認された。
-
ヒルシュスプルング病および類縁疾患における乳歯幹細胞による病因解明と新規治療開発
研究課題/領域番号:16H02682
2016年4月 - 2020年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
田口 智章, 松浦 俊治, 吉丸 耕一朗, 桐野 浩輔, 山座 孝義, 山座 治義, 尾崎 正雄, 岡 暁子, 孝橋 賢一, 梶岡 俊一, 大賀 正一, 黒田 達夫, 増本 幸二, 田尻 達郎, 家入 里志, 木下 義晶, 柳 佑典, 野中 和明, 高田 英俊, 奥野 博庸, 中畑 龍俊
配分額:47450000円 ( 直接経費:36500000円 、 間接経費:10950000円 )
上記疾患群の中で予後不良である腸管神経節細胞僅少症(HYPO)に、第一にfocusをした。HYPOは腸管神経節細胞は存在するがその数が極めて少ない特徴を有す。同じく腸管神経細胞の減少を認めるマウス(JF1)を用いて、健常児由来の乳歯幹細胞(SHED)を投与した。結果、体重増加を得、その有効性を証明した。次に、HYPO患者由来のSHED(HYPO-SHED)の解析を行った。SHEDは間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell, MSC)であるが、HYPO-SHEDは、MSCに矛盾しない表現型を有していること、ならびに増殖能や造腫瘍性に関する解析を行った。
-
小児固形悪性腫瘍に対する、免疫学的糖鎖解析法を用いた新規診断システム法の開発
研究課題/領域番号:16K11347
2016年4月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
木下 義晶, 田口 智章, 宗崎 良太, 三好 きな, 久田 正昭, 瀬戸山 大樹
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
代表的腫瘍マーカーであるAFP(Alpha-feto protein)には3つの分画(L1,L2,L3)がある。本研究では免疫学的手法、質量分析法などを用いてL2分画をL3より分離して測定することを可能にし、非侵襲的新規簡易診断システムの開発を行うことを目的とした。
小児固形悪性腫瘍患者、および良性疾患患者の児 (対照群) の血清検体、組織検体を用い、免疫電気泳動法によるL2分画の分離、定量化により得られたデータより新生児期・乳児期における生理的L2分画の基準値設定を行った。 -
乳児放射線検査における線量と画質の最適化手法の確立
研究課題/領域番号:16K10322
2016年4月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
藤淵 俊王, 杜下 淳次, 藪内 英剛, 松浦 俊治, 木下 義晶
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
医療施設においてX線を用いた検査は必要不可欠なものとなっている。特に胸部単純一般撮影は頻繁に実施される検査であり、それに伴い患者の被ばくが生じる。小児は放射線感受性が成人と比較して高く、検査の際には撮影条件を適切に設定するとともに被ばく線量を評価する必要である。本研究では体系の変化しやすい小児に対して、CTボリュームデータから3Dプリンタ出力可能なポリゴンファントムを開発し、モンテカルロシミュレーションによる臓器吸収線量の評価手法、実物に近い3Dプリントアウトしたファントムの印刷条件を明らかにした。
-
神経芽腫に対する革新的手術シミュレーション・ナビゲーションシステムの開発
研究課題/領域番号:15K10924
2015年4月 - 2018年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
宗崎 良太, 家入 里志, 植村 宗則, 木下 義晶, 小幡 聡, 神保 教広, 田口 智章, 橋爪 誠
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
副腎原発神経芽腫において、術前撮影CT画像より、3Dプリンターを用いて立体臓器モデルを作成した。トロッカー挿入可能な樹脂素材を用いて、体躯を作成し、実際の腹腔鏡下右副腎腫瘍摘出術と同様の視野での腫瘍位置のシミュレーションや、トロッカー位置の検討などに使用した。また、神経芽腫の肝転移症例についても、副腎と肝臓の両方のモデルを作成し、手術シミュレーションを行った。
また、神経芽腫と同じ小児悪性腫瘍である肝芽腫において、同様に術前CT画像から立体臓器モデルを作成。門脈や肝静脈の走行と腫瘍の位置関係を確認するとともに、術前に切離線をシミュレーションし、より解剖が容易に理解できることなど、有用性を認めた。 -
肝移植後の学童後期から思春期の子どもと親のQOL向上のための看護援助モデル構築
研究課題/領域番号:26463414
2014年4月 - 2022年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
藤田 紋佳, 松浦 俊治, 林田 真, 濱田 裕子, 木下 義晶
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究の目的は、肝移植後の学童期から思春期の子どもと親のQOL向上のための看護援助モデルを構築し、課題解決を図ることである。子どもと親を対象にした実態調査、面接調査結果及び文献検討より、子どもと家族のモニタリング指標を作成した。また、調査結果及び文献検討により、生体肝移植後の学童後期から思春期の子どもと親のQOL 向上の概念枠組み、看護援助モデル、パターンごとの看護援助指針を導いた。作成した看護援助モデルは、実践・評価・修正を行い、内容を精錬し肝移植後の学童期から思春期の子どもと親のQOL向上のための看護援助モデルを構築した。
-
難治性小児悪性軟部腫瘍におけるFOXM1および関連蛋白発現と標的分子としての評価
研究課題/領域番号:26462708
2014年4月 - 2017年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
久田 正昭, 田口 智章, 木下 義晶, 宗崎 良太, 孝橋 賢一, 三好 きな
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
小児悪性軟部腫瘍は予後不良で、新たな治療標的が望まれる。Forkhead box M1 (FOXM1) は、現在主要な悪性腫瘍におけて新たな治療標的として最も注目されている分子の一つである。
小児悪性軟部腫瘍のうち、横紋筋肉腫(RMS)92例と滑膜肉腫(SS)106例におけるFOXM1発現を評価し、FOXM1発現が予後不良と関連する事を示した。RMSにおいてFOXM1はVEGF発現や血管新生と相関した。SS症例のcDNAマイクロアレイ分析において、細胞周期関連遺伝子の発現がFOXM1発現と相関することを示した。各腫瘍の細胞株に対する研究においてFOM1抑制が新たな治療選択肢となる可能性を示した。 -
子どもを亡くした家族のグリーフケアプログラムの開発~語りのアクションリサーチ~
研究課題/領域番号:26502006
2014年4月 - 2017年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
濱田 裕子, 笹月 桃子, 京極 新治, 山下 郁代, 藤田 紋佳, 瀬藤 乃理子, 木下 義晶, 古賀 友紀, 落合 正行, 賀来 典之, 松浦 俊治, 北尾 真梨
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
子どもを亡くした家族の悲嘆に関するケアニーズを明らかにし、アクションリサーチによって悲嘆に対するサポートプログラムを作成することを目的に研究を実施した。子どもを亡くした家族に個別インタビューを行った結果、子どもの疾患や年齢によって、家族のケアニーズの特徴は異なったものの、共通していたのは【子どものことをなかったことにしたくない】、【子どもの事を知ってほしい】、【ありのままの自分でよいことの保証】、【気持ちを表出できる場がほしい】などであった。
グリーフケアプログラムの試案として、フォーカスグループインタビューを4回、グリーフの集いを1回実施するとともに、グリーフサポートブックを作成した。 -
小児固形悪性腫瘍の非侵襲的診断と新規治療開発のためのトランスレーショナルリサーチ
研究課題/領域番号:25253095
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
細井 創, 中川原 章, 檜山 英三, 田尻 達郎, 北條 洋, 瀧本 哲也, 家原 知子, 滝田 順子, 木下 義晶, 大喜多 肇, 菱木 知郞, 土屋 邦彦, 宮地 充
配分額:44720000円 ( 直接経費:34400000円 、 間接経費:10320000円 )
小児がんについて、わが国の先端的基礎研究を結集・統合し、次期臨床試験に応用できるトランスレーショナルリサーチを推進することを目的とした。その結果、①血液から抽出できる小児がんの新規バイオマーカーを探索し、治療層別化へ応用可能なマーカーを抽出②低・中間リスク小児がん患者に対する副作用軽減を目指し、間葉系幹細胞を用いたドラッグデリバリーシステムの可能性③高リスク小児がん患者に対するペプチドワクチン、PD-1阻害剤、NKT細胞療法を用いた新規免疫療法の可能性④超高リスク小児がんに対し、次世代ゲノム解析技術を用いた詳細な分子病態を解析・新規分子標的の候補となるゲノム異常、について明らかにした。
-
MYCNトランスジェニックマウスを用いた神経芽腫新規分子標的治療の開発
研究課題/領域番号:24592698
2012年4月 - 2015年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
宗崎 良太, 木下 義晶, 田口 智章, 孝橋 賢一, 三好 きな, 田尻 達郎
配分額:5330000円 ( 直接経費:4100000円 、 間接経費:1230000円 )
MYCNトランスジェニックマウスのホモ・ヘテロについて、Hedgehogシグナル関連タンパク(Sonic Hh, GLi1, Patched)の蛋白発現の検討を行った。HE染色ではホモ・ヘテロともにヒト神経芽腫のundiffrentiated subtype相当と病理組織学的に差がなかった。また、Sonic Hh, patchedの発現は陽性であったがGlI1についてはホモ・ヘテロとも陰性であった。我々が報告しているヒト神経芽腫検体においては、GLI1も陽性であった結果と異なっており、MYCNトランスジェニックマウスにおいてヒトとHhシグナル活性化が異なることが明らかとなった。
-
NICU高照度環境が及ぼす早産児の睡眠・覚醒リズム形成と心身発達の前方視的研究
研究課題/領域番号:23601012
2011年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
新小田 春美, 加来 恒壽, 木下 義晶, 末次 美子, 清原 千香子, 古賀 靖子, 浅見 恵梨子, 松本 一弥, 落合 正行, 湯元 康夫, 穴井 謙, 白水 雅子, 光武 玲子, 上野 ふじ美, 荒田 弘樹, 稲垣 志保, 上段 清美, 大田 亜由子
配分額:5590000円 ( 直接経費:4300000円 、 間接経費:1290000円 )
NICUにおける高照度・騒音の治療環境の基準や、developmental careへの示唆を得る目的で、睡眠・覚醒リズムや睡眠の質評価、生理的反応の日内変動の特徴などを明らかにした。子宮内模擬暗環境の介入観測も行い、暗環境(<50Lux)で活動量低下の傾向を認めたが、睡眠の質に有意差はなく、70-80dB以上の騒音には啼泣を認め、照度よりも騒音への刺激が覚醒に繋がっていることが示唆された。
-
難病の子どもの居場所を創造するアクションリサーチー日本型子どもホスピスの探求ー
研究課題/領域番号:22610010
2010年4月 - 2014年3月
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
濱田 裕子, 藤田 紋佳, 南博 文, 田北 雅裕, 木下 義晶
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
我が国における子どもホスピスの可能性を探るために、当事者の視点から体験を明らかにし、医療者のみならず、一般の人や多領域の専門職と協働し、アクションリサーチを行った。難病の子どもと家族のケアニーズとして、幼児期、高校卒業後のQOLが低く、発達へのケアニーズが高かった。また3組の子どものend of life careに関わり、医療ケアのみならず、子どもの成長と家族の発達支援に関するニーズが明らかとなった。また教育啓発活動や難病の子どもと家族のQOLを支援するためのプログラムを実施するとともに、多職種とともに子どもホスピスネットワークを構築した。これらの活動を通して、日本型小児ホスピスを検討した。
-
小児固形悪性腫瘍におけるGLYPICAN3をターゲットとした分子標的治療
研究課題/領域番号:22591980
2010年 - 2012年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
木下 義晶, 田口 智章, 田尻 達郎, 宗崎 良太, 田中 桜
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
【目的】小児固形悪性腫瘍におけるGlypican3の新規腫瘍マーカーとしての有用性の検討と、特異的発現を示す小児固形悪性腫瘍に対しては診断システムの構築を行い、さらにGlypican3を標的とした免疫遺伝子治療を開発することを最終目的とする。【方法】当科で経験した小児固形悪性腫瘍の病理検体、および患者血清に対してGlypican3とAFPの免疫組織学検討とELISAによる血清値測定を行った。【結果】肝芽腫、悪性胚細胞腫のほぼ全例、約1/3のウィルムス腫瘍の患者、胞巣型横紋筋肉腫、未分化肉腫の患者の組織と血清にはGlypican3の発現が認められた。AFPに関しては肝芽腫、悪性胚細胞腫のほぼ全例に発現が認められた。また非担癌患者においては出生直後の年齢層において血清Glypican3は高値であり、1歳前後にかけて徐々に減衰傾向が認められ1歳以降においてはほぼ正常化することが確認され、生理的減衰傾向を示す胎児性腫瘍マーカーであることが示唆された。【考察】Glypican3は小児固形悪性腫瘍における新規腫瘍マーカーとして有用であることが示された。この基礎研究の結果を元に1歳以降でGlypican3が発現している難治性の腫瘍に対してはがんワクチン療法をはじめとする免疫療法や関連遺伝子を対象とした分子標的治療の実現の可能性が期待される。
-
先天性横隔膜全欠損に対する遺伝子導入および再生医療を応用した新規治療法の開発
研究課題/領域番号:21390475
2009年 - 2012年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
田口 智章, 増本 幸二, 野中 和明, 永田 公二, 家入 里志, 田尻 達郎, 木下 義晶
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
ニトロフェン誘導の横隔膜ヘルニアラットに肺組織内間葉系幹細胞(MSC)を投与した。その結果、肺のPCNA陽性細胞が増加。臨床例20例のDNAの抽出を行いSNP-arrayを施行。その結果TCTE3のmicrodeletionを検出。再発例に腹壁筋フラップ法を11例に施行し良好な結果。脱落乳歯の歯髄細胞(SHED)から肝細胞の分化に成功。SHEDの多分化能を利用して横隔膜筋細胞のシート作成を開始。
-
ウィルムス腫瘍の新規血清腫瘍マーカーとしてのGlypican3の有用性の検討
研究課題/領域番号:19592060
2007年 - 2008年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
木下 義晶, 田口 智章, 田尻 達郎, 宗崎 良太, 竜田 恭介
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
Glypican3(GPC3)は膜結合型Glypicanファミリー6種類のうちの一つで1997年にHsuらがHCC組織においてGPC3の発現が有意に高いことが報告した。以後、卵巣癌、悪性中皮腫、乳癌、大腸癌などにおいても発現があることが報告された。小児固形悪性腫瘍に関してはいくつかの報告が散発的にあるが、その腫瘍マーカーとしての有用性までには言及されていない。今回我々はウイルムス腫瘍をはじめとする小児固形悪性腫瘍全般におけるGPC3の発現を検討し、新規腫瘍マーカーとしての有用性を検討した。方法は血清中のGPC3(sGPC3)、AFP(sAFP)、組織は免疫組織によりGPC3(tGPC3)、AFP(tAFP)について検討した。34例中3例がsGPC3(+) /sAFP(+)(肝芽腫2例、卵黄嚢癌1例)であった。一方4 例がsGPC3(+)/sAFP(-)であった(未分化肉腫1例、神経芽腫1例、Wilms腫瘍1例、 Solid Pseudopapillary Tumor1例)。このうち、未分化肉腫の症例においてはsGCP3が治療効果に伴い、経時的に減少傾向を示した。これらの所見よりGPC3はAFPに類似した動態を示す癌胎児性蛋白であるが、GPCを特異的に発現する小児腫瘍が存在することが示され、sGPC3(+) かつsAFP(-)を呈する腫瘍においては新規腫瘍マーカーとなる可能性が示唆された。
-
先天性横隔膜ヘルニアの新しい胎児治療戦略-細胞外マトリックス代謝の観点から-
研究課題/領域番号:19592061
2007年 - 2008年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
増本 幸二, 田口 智章, 木下 義晶, 永田 公二
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
先天性横隔膜ヘルニアの新たな胎児治療戦略として、細胞外マトリックス代謝からの戦略を行うための基礎実験を行った。低形成肺のモデルとして、通常使用されるNitrofen-inducedモデルや新たなモデルとしてGja-1 knock-outモデルを使用し、その発達の程度を検討した。またコラーゲンなどの細胞外マトリックスやその分解酵素について、分布やタンパク発現量を検討した。どちらの低形成肺でも、発達がきわめて遅れており、組織培養を行い、成長因子などの投与によりこの発達の遅れが改善する可能性が示唆された。
-
小児固形悪性腫瘍に対する新規ベクターを用いた樹状細胞免疫遺伝子治療開発
研究課題/領域番号:18591955
2006年 - 2008年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
田尻 達郎, 田口 智章, 居石 克夫, 米満 吉和, 木下 義晶, 水田 祥代, 竜田 恭介
配分額:4040000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:540000円 )
神経芽腫に対する外科療法と併用した樹状細胞治療の開発を目的に、前臨床試験としてマウス皮下担癌モデルにおいて、センダイウイルスベクター導入樹状細胞(SeV/DC)は有意に腫瘍増殖を抑制し、さらにSeVに搭載する遺伝子としてIFN-βを用いること、また放射線療法の併用療法で抗腫瘍効果が増強することを確認した。さらに、新たな知見として、放射線前照射によりSeV/DCが誘導する抗腫瘍免疫は、CTL活性を増強し長期メモリーを成立させることが分かった。また、抗腫瘍効果を担う主な免疫細胞は、原発巣の縮小にはCD4陽性T細胞が、再移植時にはCD8陽性T細胞が重要であることが示唆された。現在、臨床研究のプロトコールを作成中である。
-
マイクロアレイを用いた神経芽腫発生・悪性度に関与する分子機序の解明
研究課題/領域番号:17591864
2005年 - 2006年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
東 真弓, 田尻 達郎, 田口 智章, 水田 祥代, 木下 義晶, 高橋 由紀子, 竜田 恭介
配分額:3500000円 ( 直接経費:3500000円 )
神経芽腫の臨床検体を用い、favorable群として、1歳未満、マス陽性、stage1、MYCN増幅なし、aneuploid、嶋田favorable histologyの3検体、unfavorable群として、1歳以上、マス陰性、stage4、MYCN増幅あり、diploid、嶋田unfavorable histologyのもの3検体からのRNAをそれぞれ、poolし、2群間の比較としてマイクロアレイにて解析をおこなった。マイクロアレイの結果より、favorableに発現が優位の遺伝子の中から、神経芽腫に特異的と思われるものを選択し、約60の臨床検体について、real-time PCRにて発現の解析をおこなった。
マイクロアレイの結果より、unfavorable群に発現が優位な遺伝子は約400、favorable群に優位なものは約40あり、favorable群の中から、unfavorableの約3倍の発現が認められた胎生期の神経細組織に特異的に発現しているneuronatinという遺伝子に着目した。他の予後因子および臨床像とneuronatinの発現との関連について解析すると、予後不良因子を有する群ではいずれも低発現の傾向であり、嶋田分類favorable/unfavorable、MYCN増幅/非増幅、生存例/死亡例での発現の比較にて有意差が認められた。neuronatinとtrkAの発現の相関は認められなかった。
また、neuronatin低発現であるMYCN増幅の神経芽腫細胞株に脱メチル化剤を作用させたところ、neuronatinの発現の増加が認められた。これより、neuronatinは予後不良の神経芽腫においてメチル化により発現が抑制されていると考えられた。また、同じ細胞株neuronatinを強制発現させると、細胞の分化傾向が認められた。
neuronatinは、その機能はまだ不明の点が多いが、神経系の発生に関与することが推測されている遺伝子である。研究結果より、neuronatinの神経芽腫の分化への関与が示唆された。 -
先天性横隔膜ヘルニアの低形成肺に対する出生後の肺成長促進治療に関する研究
研究課題/領域番号:16390504
2004年 - 2006年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
水田 祥代, 田口 智章, 増本 幸二, 木下 義晶, 野中 和明, 荻田 桂子
配分額:14500000円 ( 直接経費:14500000円 )
新生児外科疾患は、周産期・周術期管理、手術手技・薬物療法の発展や医療機器の発達によりその予後が大きく改善した。しかし、先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は、いまだに高い死亡率を示す予後不良な疾患である。CDHの予後を決定する因子は肺の低形成と新生児遷延性肺高血圧(以下PPHN)である。特に肺低形成に起因する絶対換気量の不足は決定的な予後不良因子となる。
肺低形成の治療は、胎児の気管閉塞術にて肺の発育を促す試みが行われているが、結果は出生後治療と差がなく、むしろ早産率を増加させた。従って現状では肺の発達を促す薬物治療が、実際的で応用範囲が広いと考えられる。
肺発生過程には、FGFやIGFといった種々の増殖因子の関与が判明している。我々はマウスの胎齢11日目から18日目までの肺を摘出し,RT-PCR法を用いて各時期の胎児肺におけるIGF-1,IGF-2,IGF-1R,IGF-2Rの発現について定量化を行った。その後,胎齢17日目に摘出した胎児肺に対して48時間の組織培養を行い,IGF-1,IGF-2投与群と非投与群について,抗BrdU染色,TTF-1,SP-Cを用いた免疫染色による比較検討を行った。
その結果,IGF-1Rは管状期から嚢状期にm-RNAの発現の強い上昇を認めた。また,組織培養後の抗BrdU抗体染色では,IGF-1,IGF-2投与群は,非投与群と比較して間質細胞の細胞数において有意な増加を認めた。また,TTF-1,SP-C免疫染色においても,IGF-1,IGF-2投与群において、陽性細胞の増加をみた。
IGF-1Rは、肺発生過程の管状期から嚢状期に強く発現し,成獣になると発現は低下する。肺発生の上皮間質相互作用においてIGF-1,IGF-2は,IGF-1Rを介して間質細胞に働きかけ,肺胞上皮の成熟を促進する可能性が示唆された。この結果,胎児期の母体へのIGF投与は,低形成肺の成熟を促進できる可能性が示唆された。 -
ウイルムス腫瘍の発生、発育におけるβ-カテニン遺伝子、WT1遺伝子の関与
研究課題/領域番号:16791083
2004年 - 2005年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:若手研究(B)
提供機関:日本学術振興会
木下 義晶
配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )
β-カテニンのoncogenesisへの関与は小児悪性腫瘍においては近年、肝芽腫の発生に強く関与する報告がなされている。肝芽種の約50%の症例においてβ-カテニンの変異が検出されており、その発生への関与が示唆されている。しかし他の小児固形悪性腫瘍へのβ-カテニンの関与は今のところ不明である。ウイルムス腫瘍の発生にはWT1遺伝子異常が関与するとされてきたが、その頻度は10%程度であり、oncogenesisにどのように関わっているかの詳細は未だ不明である。近年、β-カテニンもウイルムス腫瘍に15%程度の頻度で異常を認めるとされており、本研究ではβ-カテニン遺伝子とWT1遺伝子のウイルムス腫瘍の発生ならびに発育における関与を明らかにすることを目的とした。1964年より2005年の間に九州大学小児外科教室において経験されたウィルムス腫瘍40例を対象とし、免疫組織学的にβ-カテニン、WT1遺伝子の発現を検討した。β-カテニンについては細胞膜に陽性を示したものが38例(100.0%)、細胞質に陽性を示したものが35例(92.1%)、核内移行を示したものが9例(23.7%)であった。組織型別での陽性率は腎芽型成分に35例(92.1%)、上皮型細胞成分に12例(31.6%)、問葉型成分には2例(5.3%)の陽性率であった。WT1については細胞質に陽性を示したものが30例(79.0%)、核内移行を示したものが22例(57.9%)であり、組織型別での陽性率は、腎芽型細胞成分に21例(55.2%)、上皮型細胞成分に14例(36.8%)、間葉成分には3例(7.9%)の陽性率であった。β-カテニンにて核内移行を示した9例は全例WT1にても核内移行を示した。さらに組織内におけるDNAの発現と変異を調べるためにMicrodissectionにてこれらのパラフィン標本より組織型別にDNAを抽出し、検出されたDNAをSequencerを用いてdirect sequenceを行った。しかしqualityの高いDNAを得ることができず、有意な結果を得ることはできなかった。以上よりウィルムス腫瘍におけるβ-カテニン、WT1遺伝子のoncogenesisへの関与に関しては免疫組織学的検討により同時に核内移行を示す約20%の症例において何らかの関与があることが示唆された。
-
乳児神経芽腫マススクリーニング症例における遺伝子異常の高感度解析
研究課題/領域番号:14657454
2002年 - 2004年
制度名:科学研究費助成事業
研究種目:萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
水田 祥代, 田尻 達郎, 木下 義晶, 野口 伸一
配分額:3400000円 ( 直接経費:3400000円 )
乳児神経芽腫マススクリーニングによる発見症例は、その生存率は98%と非常に高く、一見その目的は達成されているようにみえるが、マス検査陰性後に臨床的に発見される症例(マス陰性例)が数多く存在し、それらは進行症例が多く、予後不良である(J Pesiatr Surg.1998:33,1674-1678)。日本以外で全国規模でマスを施行している国は世界になく、多数のマス発見例及びマス陰性例の詳細な生物学的特性の解析と臨床経過の検討は、マスの有効性の評価及びマス症例の治療方針の決定に直結するだけでなく、神経芽腫全体の生物学的多様性を究明するデータとなることが予想される。
現在までの研究で、神経芽腫の遺伝子異常を高感度かつ迅速に解析を行う手法としてMYCN amp.と1p del.に関してflourescence in situ hybridization(FISH)による解析を確立し(J Pediatr Surg,1999:34,1615-1619)、また、MYCN amp.と17q gainに関してReal Time PCR(TaqMan^<TM>PCR)による解析を確立した(Cancer Lett.2001:10,89-94)。
MYCN amp.に関しては、今年度の研究によりFISHとReal Time PCRによる組み合わせが最も正確にamplificationの状態を評価することができて、神経芽腫の悪性度と非常に相関している結果を得て発表した(J Pediatr Surg.2004:39,63-68)。
さらに、定量的PCRによりMYCN amp.,17 q gain,1p del.,11p del.,14q del.の同時解析を行った結果、MUCN amp.,17q gain,1p delの高感度解析の組み合わせにより、乳児神経芽腫の生物学的悪性度の層別化が可能であり、マス休止後の臨床的に発見される乳児神経芽腫の治療方針に決定に有意義であると考えられた。
担当経験のある授業科目
-
医学序説 I
2022年-現在機関名:新潟大学 -
医学序説 II
2021年機関名:新潟大学 -
臓器別講義・演習Ⅱ
2020年-現在機関名:新潟大学 -
臨床医学講義(集中)
2020年-現在機関名:新潟大学 -
医学序説 I
2020年機関名:新潟大学