共同研究・競争的資金等の研究 - 小野寺 理
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脳小血管の細胞外基質の摂動を起こす細胞群の同定と、その制御機構の解読
研究課題/領域番号:22H00466
2022年4月 - 2025年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 加藤 泰介, 塚田 啓道, 齋藤 理恵
配分額:42510000円 ( 直接経費:32700000円 、 間接経費:9810000円 )
本研究では、非遺伝性の脳小血管病(cSVD)で、細胞外マトリックス摂動の原因を細胞レベルで、時空間情報で同定する。その情報から、その変化が、周辺の細胞や、環境に、どのように影響するのか、組織上の相互関係を顧みあきらかとする。これを通じて、加齢とcSVDの関係を明確にする。また得られた一細胞あたりの時空間トランスクリプトーム情報から、微小環境での加齢性の血管変化のモデルを作製する。これを用い様々な介入による、細胞外マトリックス摂動の改善効率をシミレーションする。手法の正しさはモデルマウスにても検証する。このため、一細胞トランスクリプトーム解析と、時空間トランスクリプトーム解析を融合し、細胞外マトリックスの摂動の原因となっている細胞群について、その組織内での部位の決定を目的としている。今年度は、1)マウス脳小血管での定量プロテオミクスを行い、その血管に蓄積しているタンパク質を同定し、免疫組織化学方にて、実際の集積の有無を検討した。同時に、血管を用い、ウエスタンブロッティング法にて、タンパク質の蓄積の有無を検証した。この結果新たなコラーゲンのヒト加齢血管への蓄積を見出した。2)細胞外マトリックス構成分子の摂動をもたらす細胞群の同定では:単離した血管のシングルセルRNA解析にて、細胞のプロファイルを得ることを目的地した。対象はCARASILモデルマウスのカンデサルタン投与とアムロジピン投与とした。部位は、くも膜血管が混入無く単離できるため、まず、この血管で行った。既報の、マウスの脳小血管のRNAプロファイルと比較し、細胞腫の同定を行った。その結果、疾患群で増加し、カンデサルタン投与にて正常化する、ある少数の細胞群を同定し、そのプロファイルが、既報のある細胞群と一致していることを見出した。
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脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムとALS病態の関連
研究課題/領域番号:19H03543
2019年4月 - 2023年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
矢野 真人, 小野寺 理, 矢野 佳芳
配分額:16250000円 ( 直接経費:12500000円 、 間接経費:3750000円 )
本研究は、運動ニューロンに特徴的な発現を示すRNA結合蛋白質を選別し、得られたRNA結合蛋白質を機能解析をする事で、脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムを解明し、その生理的機能及びALSなどの運動ニューロン病の病態との関連性を明らかするものである。我々は、これまで約1500種類存在すると言われるRNA結合蛋白質の中で、Qki5蛋白質が運動ニューロン特異的な発現を示す唯一のRNA結合蛋白質であることを見出した。次に、我々が行ってきた生体内RNA結合蛋白質機能解析戦略である1塩基解像度の蛋白質-RNA相互作用マッピング解析HITS-CLIPとRNAシーケンス技術にマウス遺伝学を組み合わせた解析を実施し、脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムを解明し、Qki5の生理的機能及び病態との関連性の解析を進めている。これまでに、発生段階および成体の脊髄における免疫組織学的解析を行い、Qki5蛋白質が神経細胞の中で運動ニューロンにおいてのみ発現する特徴的な発現パターンを有していることが明らかとなった。さらにヒトiPS細胞由来神経細胞を用いたシングルセルトランスクリプトーム解析を行ったところ、免疫組織学的解析で得られた特徴的なパターンと一致し、Qki5の発現は、運動ニューロン特異的分子isl-1遺伝子と同じクラスターに存在していることが明らかとなった。さらに、Qki5のHITS-CLIP解析およびQki5をノックダウンさせた運動ニューロンを用いたトランスクリプトーム解析を実施し運動ニューロン固有の標的下流RNA群の探索を行い、新たなQki5の標的遺伝子群や新規のCryptic exonの発見、また運動ニューロン変性と密接に関わる標的遺伝子群を同定することができた。運動ニューロン特異的CreドライバーマウスとQk遺伝子のコンディショナル欠損マウスを交配し、分子生物学的解析、組織学的解析および行動学的解析による表現型解析を進めている。
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脳の排泄経路の解明による加齢性脳疾患へのアプローチ
研究課題/領域番号:19H01043
2019年4月 - 2022年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 上村 昌寛, 五十嵐 博中, 今野 卓哉, 加藤 泰介, 清水 宏, 金澤 雅人
配分額:45500000円 ( 直接経費:35000000円 、 間接経費:10500000円 )
HTRA1欠損マウスが、脳小血管の加齢性変化と類似するモデル動物となることを見出した。定量的DIAプ ロテオミクスとGO解析にて、その主体が細胞外基質、マトリゾームの異常であり、ハブ蛋白としてフィブロネクチンを起点と していることを見出した。フィブロネクチンの蓄積は加齢性の脳小血管変化でもよく認める変化である。これをカンデサルタンが抑制することを見出した。また、合わせ て、脳血流、血管拡張性の低下をもたらしていることを見出した。さらに、それがカンデサルタン投与で改善する事も見出した。脳内タンパク質のホメオスタシスに、細胞外プロテオスタシス機構が大きな役割を果たしていることを明確とした。
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成人発症白質脳症の実際と有効な医療施策に関する研究班
2018年 - 2020年
制度名:領域別基盤研究分野における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究(30080201)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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アストロサイトを侵すタウオパチー:タウの病理多様性とアストロサイト多様性の関係
研究課題/領域番号:17H03554
2017年4月 - 2020年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 小野寺 理, 加藤 泰介, 田中 英智, 豊島 靖子
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
本研究では、4-リピートタウオパチーであるPSPとCBDにおける病的アストロサイトの分子生物学的特性を解明するとともに、アストロサイトに特徴のあるタウの蓄積を示す新たな疾患群の有無を検討した。前者については、細胞範囲の選択的・的確な同定と良質なサンプル調整が困難であり、中途、断念せざるを得なかった。後者については、globular glial tauopathy (GGT)の6例を同定し、病理学的に明確にII型 (n=3)、III型 (n=3)に分類可能であること、両者間においてアストロサイト内タウ蓄積の過程に相違のあること、一方で、蓄積タウの生化学的性状はPSPに類似していることを示した。
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ポリグルタミン病に対する蛋白質凝集阻害薬の開発(大阪大学B-49)
2017年 - 2019年
制度名:シーズB
提供機関:医療研究開発推進事業費補助金
小野寺理
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ゲノム編集を用いた優性遺伝性中枢神経疾患の治療方法の開発
2017年 - 2019年
制度名:【IRUD Beyond+ゲノム編集】希少難治性疾患・未診断疾患領域における革新的開発候補物の非臨床POC確立を目指す研究
提供機関:日本医療研究開発機構研究費
小野寺理
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TGF-βシグナルを標的にしたCARASILの新規治療シーズの探索
2017年 - 2019年
制度名:希少難治性疾患に対する画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究:薬事承認を目指すシーズ探索研究(ステップ0)
提供機関:日本医療研究開発機構研究費
小野寺理
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研究課題/領域番号:16H02656
2016年4月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 豊島 靖子, 加藤 泰介, 小山 哲秀, 野崎 洋明
配分額:46670000円 ( 直接経費:35900000円 、 間接経費:10770000円 )
認知症の克服は喫緊の課題であり、脳血管性認知症は主因の一つである。この病変として、脳の小血管が注目され脳小血管病と称される。この病態として、近年、神経活動依存性血流調節機構の障害が唱えられている。しかし、その分子病態は不明である。我々は遺伝性脳小血管病の原因遺伝子HTRA1を単離し、本症が組織増殖因子シグナルの亢進によることを明らかとした。さらに、非遺伝性の脳小血管病類似の平滑筋・周皮細胞の変性を伴うマウスにて脳小血管病の分子病態、特に、組織増殖因子シグナルによる小血管障害機構を明らかとした。
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孤発性タウオパチーに相関するタウ遺伝子多型の生化学的意義のゲノム編集を用いた解明
研究課題/領域番号:16K15479
2016年4月 - 2018年3月
制度名:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
研究種目:挑戦的萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
タウの蓄積を認める疾患では,タウ遺伝子多型との相関が知られている.しかし,これらの多型の意義付けは解析が困難であった.CRISPR-Cas9法を応用したCORRECT法にてタウ疾患関連の遺伝子多型を導入し,タウ遺伝子の発現量,スプライシングへの影響を明らかとする.ゲノム編集導入率は標準的な方法で1%であっ た物を4.5%まで向上させた.しかし、効率は低く、遺伝子によって著しく異なる可能性があることを明らかとした.作成した細胞を用いてMAPTのスプライシング効率を検討したところ,4R/3Rtau比が増加している事を確認した.この細胞系は,薬剤のスクリーニングに応用可能である。
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重合体形成阻害を標的としたポリグルタミン病の新規治療法開発
研究課題/領域番号:16K09670
2016年4月 - 2018年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
他田 正義, 小野寺 理
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
(1) 重合体形成阻害を分子標的としたモデル線虫による薬剤スクリーニング:初期スクリーニングで得られた約300の候補薬の中から既に本邦で臨床使用されている25薬剤を抽出し、ポリグルタミン病モデル線虫を用いて治療効果を検討した。その結果、6薬剤がモデル線虫の封入体面積・総数を有意に減少させた。この中で、既に広く臨床使用されている QAI-39095 に注目し、モデル線虫の表現型解析および生化学的解析を行った。QAI-39095投与により、封入体数・面積の減少、運動能の改善、寿命の延長、重合体量の減少が生じることを確認した。
(2) マチャド・ジョセフ病患者由来線維芽細胞からのiPS細胞の樹立:熊本大学発生医学研究所の協力を得て、SCA3患者2名の皮膚組織からiPS細胞の樹立を試みたが、不成功に終わった。
(3) 小脳性運動失調の新たな定量評価法の開発:iPad を用いた上肢運動機能評価システム iPatax (iPad Application for Evaluating Ataxia) を開発した。健常者および小脳失調症患者を対象とした解析で、視標追跡課題における速度の変動係数が小脳性運動失調の臨床重症度と高い正の相関を示すことを明らかにした。さらに、脊髄小脳変性症 (SCD) 患者の自然歴や治療効果判定に iPatax視標追跡検査が有用であることを示した。また、Kinectセンサーを用いた3次元歩行解析システムを開発した。
(4) 患者に対する治療介入試験:SCD患者29例を対象として、禁煙薬であるバレニクリン酒石酸塩の有効性と安全性を検討した。8週間の服用で嘔気を7例 (24.1%) に認めたが、重篤な副作用は認めなかった。高用量群(2mg/日)と低用量群(0.5mg/日)の2群比較において、8週間の服用により、高用量群では低用量群に比して臨床評価スケールSARAの歩行項目が有意に改善した。また、治療効果判定に iPatax視標追跡検査が有用であることを示した。 -
成人発症白質脳症の医療基盤に関する調査研究班
2016年 - 2017年
制度名:領域別基盤研究分野(客観的な指標に基づく疾病概念が確立されている疾病が対象)(28080401)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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脳タンパク質老化と認知症制御に関する国際共同研究を加速するための国際活動支援
研究課題/領域番号:15K21714
2015年11月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
研究種目:新学術領域研究(研究領域提案型)
提供機関:日本学術振興会
祖父江 元, 谷内 一彦, 高島 明彦, 長谷川 成人, 小野寺 理, 岡野 栄之, 佐原 成彦, 足立 弘明, 安藤 香奈絵, 赤松 和土, 内山 圭司, 太田 悦朗, 岡田 洋平, 小野 正博, 貝淵 弘三, 加藤 孝一, 坂口 末廣, 田井中 一貴, 高橋 良輔, 田中 洋光, 永井 義隆, 橋本 唯史, 長谷川 隆文, 濱田 耕造, 深田 正紀, 福田 光則, 古川 良明, 松井 秀影, 水田 恒太郎, 望月 秀樹, 山田 薫, 森下 英晃, 久永 真一
配分額:58760000円 ( 直接経費:45200000円 、 間接経費:13560000円 )
事務局と各種委員会を設置し国際共同研究と交流を推進した。4年間で海外派遣プログラムを43名の研究者が利用し、海外からは計24名の著名な研究者を招聘することで、最新の研究成果に触れると共に情報交換を行った。国際シンポジウムは隔年で2回、また国際ワークショップ、国際タウシンポジウム、合同国際会議等を主催し、国際共同研究やネットワーク形成を推進した。
Frontiers in Neuroscience- Neurodegeneration”として22の論文をeBookとして発表し、領域の研究の国際的アピールに成功した。ホームページ、ニュースレター、活動報告書を通じ、領域の活動を国際的に発信した。 -
ストレス顆粒とオートファジーの蛋白分解クロストークの分子機構
研究課題/領域番号:15H04704
2015年4月 - 2018年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
藤井 雅寛, 小野寺 理, 小松 雅明, 高橋 雅彦, 蔭山 俊, 原 敏文, 樋口 雅也, 齋藤 孔良, 小山 哲秀, 葛城 美徳, 垣花 太一
配分額:16900000円 ( 直接経費:13000000円 、 間接経費:3900000円 )
USP10はストレス顆粒の形成に重要な役割を果たす。全身性のUSP10欠損マウスを樹立した。USP10欠損マウスは汎血球減少症を発症した。USP10欠損マウスでは造血幹細胞のアポトーシスが昂進していた。SCF (stem cell factor)が造血幹細胞のアポトーシスを抑制するが、このSCFによる抑制は、USP10を欠損した造血幹細胞では著明に低下した。USP10の変異体は、脱ユビキチン化酵素活性がUSP10による造血幹細胞アポトーシスの抑制に関与することを示した。以上の結果は、USP10およびストレス顆粒が造血幹細胞の維持に関与することを示唆する。
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新規臨床評価方法によるフォールディング病の化学シャペロンでの病態抑制効果の検討
2015年
制度名:障害者対策総合研究事業(新規)
提供機関:障害者対策総合研究開発事業
小野寺理
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研究課題/領域番号:26117006
2014年7月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
研究種目:新学術領域研究(研究領域提案型)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 柿田 明美
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:113360000円 ( 直接経費:87200000円 、 間接経費:26160000円 )
認知症を引き起こすタンパク質は,老化と共に“特定の神経システム“において“病原性をもったタンパク質へと変遷し蓄積”する.この課程には,“タンパク質の量的,質的な変化"を伴う.タンパク質の量は,産生と分解により制御され,産生はmRNA により,また分解は細胞内の分解機構と,細胞外への排出機構により制御される.我々は,加齢性神経変性疾患を引き起こすTDP-43のRNA代謝機構が乱れていることを見出した.さらに,vivo モデルにてRNA代謝を乱すことで,TDP-43の断片化を引き起こし,かつアポトーシスを誘導することに成功した.
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筋萎縮性側索硬化症とTDP-43:その始まりと広がり方 の分子神経病理学的解明
研究課題/領域番号:26250017
2014年4月 - 2017年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 小野寺 理, 豊島 靖子, 他田 真理, 清水 宏, 柿田 明美, 崎村 建司, 池内 健
配分額:39780000円 ( 直接経費:30600000円 、 間接経費:9180000円 )
TDP-43がエクソン6内で複数の選択的スプライシングを行い、その量を自己調節していることを見出した。ALS患者脊髄では、この自己調節に関係するTDP-43 mRNAの比率が増加していることを突き止め、このバリアントがTDP-43陽性の封入体と共局在することを確認した。このことから、この異常蛋白がALS病変のはじまりとなる可能性が示唆された。また、新たなALS側頭葉皮質におけるTDP-43病理像の検討では、3つのタイプ(1, 2a and 2b)の存在が示された。タイプ2bには臨床病理学的特徴が認められ、これらの個々の群は独立したサブタイプであり、かつ、その病理像の間に移行はないと考えられた。
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リン酸化TDP-43病理に準拠した「ALSからみたALSのための病型分類」の提唱
研究課題/領域番号:26640029
2014年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
研究種目:挑戦的萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 豊島 靖子, 他田 真理, 小野寺 理
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
孤発性筋萎縮性側索硬化症の96連続剖検例を対象に、抗リン酸化TDP-43(pTDP-43)抗体を用いて大脳皮質を免疫組織化学的に検討した。これらの症例は海馬歯状回顆粒細胞における陽性細胞質内封入体を欠く群 (ALS-C: n = 63) とそれを有する群 (n = 33) に二分された。さらに、後者の33例は側頭葉新皮質における顆粒状、点状の変性神経突起の多寡により2群(ALS-T/few DNs: n=22; ALS-T/many DNs: n = 11))に分類された。各群の臨床病理所見を考慮すると、これら3群は個々にpTDP-43の脳内・細胞内局在が異なる独立した亜群であるとみなされた。
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人工制限酵素による内在性TDP-43遺伝子改変と筋萎縮性側索硬化症モデルへの応用
研究課題/領域番号:25461271
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
佐藤 俊哉, 小寺 義男, 小野寺 理
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
Zinc-Finger Nucleaseを用いてTDP-43 C末領域の部分欠損マウス8系統を樹立し、この領域の生理的機能を検討した。150アミノ酸残基からなるC末領域の中央部6アミノ酸までの欠損(A)では、ホモマウスにおいても明らかな異常を指摘できなかったが、C末領域の約半分程度を欠損(B・C)させると致死となった。後半部分欠損(C)と異なり、前半部分欠損(B)では明瞭な変異蛋白を認めたが、核から細胞質に局在が変化し、核蛋白としての機能は失われた。これらの結果から、TDP-43 C末領域の前半部分は機能維持に重要であり、後半部分は蛋白の安定性維持に重要な領域であることが明らかとなった。
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重合体毒性仮説に基づくポリグルタミン病の病態解明と新規治療薬開発
研究課題/領域番号:25461272
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
他田 正義, 小野寺 理
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
ポリグルタミン病において原因タンパクの重合体形成が強い細胞障害性を有し神経変性を惹起するという「重合体毒性仮説」に基づき,重合体形成阻害を分子標的とした新規治療薬の開発を行った.培養細胞システムを用いた大規模薬剤スクリーニングとモデル線虫を用いた二次スクリーニングにより,ポリグルタミン病変異蛋白の重合体形成を阻害し,神経変性を抑制する可能性のある薬剤を見出した.また,臨床試験を成功させるために,iPadを用いた上肢運動機能評価システムを開発し,小脳性運動失調の評価における有用性を明らかにした.さらに,脊髄小脳変性症に対するvareniclineの安全性と有効性を検討する臨床試験を開始した.
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研究課題/領域番号:25670417
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
研究種目:挑戦的萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3770000円 ( 直接経費:2900000円 、 間接経費:870000円 )
孤発性ALSと同様のTDP-43病理を示す疾患であるC9FTD/ALSの遺伝子が同定された.見いだされた原因遺伝子は非翻訳領域のGGGGCC配列の増大であった.このような非翻訳領域のリピート病の病態機序は,スプライシングの乱れで説明されている.そこで,C9FTDALSに於けるTDP-43のスプライシングを検討した.リその結果、GGGGCC配列に結合する複数のRNA結合タンパクを同定した.しかし,それがTDP-43の自己調節には大きな影響を与えていないと結論した.TDP-43病理像との関係は,TDP-43を介さない他の系を介したものである可能性が考えられた.
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研究課題/領域番号:25253065
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
西澤 正豊, 小野寺 理, 石原 智彦, 柿田 明美, 佐藤 俊哉
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:45890000円 ( 直接経費:35300000円 、 間接経費:10590000円 )
TDP-43はALSの病態の主体であるが,その機序の詳細は不明である.我々は, TDP-43の機能障害説にたち,その機能について解析し,ALSの脊髄運動神経細胞では,TDP-43の異常に伴い,核内小体が減少し,その機能障害によりU snRNAが減少することを示した.しかし,TDP-43が異常をきたす機序については解明できていない.本研究にてTDP-43の自己制御機構について検討し,TDP-43が自身のpolyadenylation signalを抑制し,その結果として,自己のスプライシングを誘導し,その量的制御を行っていること.患者運動神経細胞では,その制御が亢進していることを示した.
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脳小血管病の解明と治療方法の確立:CARASILの病態機序からのアプローチ
研究課題/領域番号:25293200
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 佐藤 俊哉, 豊島 靖子, 小山 哲秀
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
近年,脳の小血管を主体とする疾患が脳小血管病として注目を集めている,本症は高齢者に高頻度で認められ,血管性認知症,さらに変性疾患にも寄与すると考えられてきている.私たちは,人で遺伝性に,脳の小血管を侵す疾病CARASILの病態機序を明らかにし本症ではHTRA1の酵素活性が低下し,TGF-βファミリーシグナルの亢進により引き起こされることを示してきた.本研究ではHTRA1の遺伝子欠損マウスの小血管にて壁細胞の変性と内膜の肥厚を示し,その生化学的特徴を明らかとした.
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研究課題/領域番号:25110714
2013年4月 - 2015年3月
制度名:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
研究種目:新学術領域研究(研究領域提案型)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:15600000円 ( 直接経費:12000000円 、 間接経費:3600000円 )
ALSのサーキットパソロジーには次の2点1) TDP-43病理像の錐体路への選択性,2)細胞死の運動神経への選択性の解明が必要であり,各々について研究を進めた.本年度は,引き続きTDP-43病理像の錐体路への選択性についてて検討した.TDP-43遺伝子変異,及び C9ORF72変異によるALS/FTLDの発見は,組織への選択性を規定する因子が,遺伝子ではなく,侵される細胞側の特性にあることを示す.その細胞側の特性として,我々は細胞でのTDP-43 mRNA の制御機構の相違を考え,これを検討した.これに示唆を与える事実として,まずTDP-43は自己量の制御機構をもち,最終エクソンがその制御の主体を担っている.同部は複数のスプライシング部位とpolyA結合部位をもつ.TDP-43 mRNA は核内に多量に存在する.また制御機構の乱れを示唆する所見として,疾患関連変異が最終エクソンに集中する.TDP-43変異を持つ患者由来人工多能性幹細胞由来の運動神経細胞ではTDP-43の増加が示唆されていることがあげられる.そこでTDP-43自身のmRNAの脊髄運動神経細胞での検討を行った.神経細胞でのTDP-43 mRNAの細胞内での核,細胞質における存在比率と,を検討した.in situ hybridization 法を用い高感度に,かつ定量的にTDP-43 mRNAを測定できる系を開発し,本方法による検討を行った.その結果ALS脊髄運動神経細胞においてTDP-43 mRNAの細胞内局在の変化を同定した.本発見は細胞毎のTDP-43量調節について検討を加える基盤となる.
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遺伝性脳小血管病およびその類縁疾患の診断基準の確立と治療法の研究
2013年
制度名:難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)(継続)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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遺伝性脳小血管病およびその類縁疾患の診断基準の確立と治療法の研究
2012年 - 2013年
制度名:難治性疾患等克服研究事業(新規)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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筋萎縮性側索硬化症とTDP-43:スプライシング異常の発見からその病態の解明へ
研究課題/領域番号:23240049
2011年4月 - 2014年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 豊島 靖子, 小野寺 理, 桑野 良三, 崎村 建司, 柿田 明美, 横山 峯介
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:45890000円 ( 直接経費:35300000円 、 間接経費:10590000円 )
本研究は壮年期に発症する神経難病である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療方法を開発するために、その病的機序の解明を目的とした。我々は病的タンパクであるTDP-43に注目した。遺伝子はスプライシングによって一つの遺伝子から様々な種類が作られるが、我々は、TDP-43のスプライシングによる多様体に注目し、それを解析し、病態との関係について検討した。また、このスプライシングを制御する機構について詳細に検討を加えた。その結果、TDP-43の遺伝子異常によってALSを引き起こすことがあるが、一部の遺伝子異常は、TDP-43の自己スプライシングを変化させる可能性が示唆された。
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細胞内膜構造に注目した運動神経病の画期的な治療法の開発
2011年 - 2012年
制度名:障害者対策総合研究事業(継続)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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研究課題/領域番号:23659184
2011年 - 2012年
制度名:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
研究種目:挑戦的萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 豊島 靖子, 小野寺 理
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )
本研究では、神経変性疾患であるA-synucleinを病的蛋白とする多系統萎縮症(multiplesystematrophy:MSA)およびTDP-43を病的蛋白とする筋萎縮性側索硬化症(amyotrophiclateralsclerosis;ALS)について検討した。(1)MSA橋核神経細胞(5例)では、核内小体であるPML小体はr-synuclein陽性の核内封入体の存在により、類円形(対照5例)から混紡状や線状に変化し、それら封入体と共局在する所見をはじめとする多様な形態権を呈して認められた。また、統計学的には、MSA神経細胞の核の体積に占めるPMLbodyの総体積は正常群に比し有意に減少していた。(2)ALS脊髄前核細胞では、核内小体であるCajal小体数の平均値は対象5例:17.19+/-4.09、孤発性ALS5例:8.06+/-4.41であり、その数の有意な減少がみられた。PML小体およびCajal小体は神経細胞の生命維持に関与する核内分子とされており、これらの減少は、それぞれr-synuclein、TDP-43の異常に関連して神経細胞死に関与しているものと推測された。
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遺伝性脳小血管病の病態機序の解明と治療法の開発
2011年
制度名:難治性疾患克服研究事業(継続)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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脳小血管障害の病態機序の解明:CARASILの病態機序からのアプローチ
研究課題/領域番号:22390174
2010年 - 2013年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(B))
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:文部科学省
小野寺 理, 豊島 靖子, 佐藤 俊哉, 野崎 洋明
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:18850000円 ( 直接経費:14500000円 、 間接経費:4350000円 )
我々は、本研究において、遺伝性の脳血管障害の原因遺伝子として我々が単離したらHtrA1の欠損マウスを用い、本マウスにおいてサイトカインであるTGF-βシグナルの亢進の有無、微小循環系の形態変化、血液脳関門機能の変化、血液脳関門構成タンパク質に及ぼす影響を検討した。まず、その形態変化を免疫組織科学的に検討した。その結果、脳の小血管の平滑筋細胞層の変質を認め、結果として血管の収縮性の低下、内径の拡張を見いだした。本研究によりCARASILのモデルマウスの作成に成功し、また孤発性の脳小血管病に類似の病理像得た。本モデルマウスの病態解明は孤発性の脳小血管病、さらに血管性認知症の解明にも寄与する。
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細胞内膜構造に注目した運動神経病の画期的な治療法の開発
2010年 - 2012年
制度名:障害者対策総合研究事業(新規)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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MRI大脳白質病変より神経症状を予測する数理統計学的方法論の確立
研究課題/領域番号:22591318
2010年 - 2012年
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
寺島 健史, 赤澤 宏平, 小野寺 理
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:2860000円 ( 直接経費:2200000円 、 間接経費:660000円 )
本課題では,大脳白質病変のコンピュータ・プログラムによる特徴抽出と,新しいMRI撮像法による解析結果を統合評価し,数理統計学的手法を駆使して臨床症状を予測する新しい方法論を確立することを目的に研究をすすめ,1)大脳白質形成の数理学的モデルの構築,2)新しいMRI撮像技術を用いたグリオーシスの非侵襲的定量評価手法の開発,3)白質脳症の臨床症状とMRI解析結果の相関関係と治療効果についての検討,を研究成果としてまとめた。
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研究課題/領域番号:22249036
2010年 - 2012年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(A))
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:文部科学省
西澤 正豊, 阿部 学, 桑野 良三, 佐藤 俊哉, 横関 明男, 小野寺 理, 柿田 明美, 阿部 学
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:48880000円 ( 直接経費:37600000円 、 間接経費:11280000円 )
平成25年6月7日現在我々は,ALSの病態機序としてTDP-43の核から喪失により,核内小体構成蛋白であるSMNの減少が生じ,その結果として生じる核内小体の機能異常が運動神経細胞死に関与している,との仮説をたて,これを検証することを目標とした.そのため,TDP-43の喪失による、培養細胞系,及び患者組織における核内小体の形態について検討した.培養細胞系および患者剖検組織における生化学的解析として,特にTDP-43の減少が核内小体の数に与える影響を検討した.TDP-43を減少させる方法としてはRNAiの手法を用い,培養細胞系にて検討を行った.核内小体のマーカーとして,核内小体であるCajal小体のマーカーとしてcoilin,SMN小体のマーカーとしてSMN, Gem小体のマーカーとしてGeminを対象とし,免疫組織化学法にて解析を加え,これらの数が減少することを確認した.さらにTDP-43変異を有するFALS,さらにSALS患者の残存神経細胞において,同様に核内小体(Cajal小体,SMN小体,Gem小体)の検討を行い,Cajal小体SMN小体,Gem小体が減少していることを見いだした.またGem小体の減少はUsnRNAの減少をきたすことが知られているので,これを検討した.その結果ALS患者での罹患組織ではU12snRNAの減少を認めた.このことからU11/12の成熟障害を示した.
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ノックアウトマウスによるTDP43の生理的機能の解明と筋萎縮性側索硬化症への応用
研究課題/領域番号:22590925
2010年 - 2012年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(C))
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:文部科学省
佐藤 俊哉, 小野寺 理, 廣川 祥子
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
TDP-43の生理的機能を解明し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルを確立するため、TDP-43コンディショナルノックアウト(cKO)マウスを作成した。ヘテロ欠損個体(Tardbp^+/-)では、TDP-43自身の厳密な発現制御機構により、多くの組織でmRNA発現レベルが回復し、明確な表現型は認められなかった。しかし未受精卵ではTDP-43mRNA発現レベルが半減し、初期胚発生にも遅延が認められたことから、ハプロ不全状態にあると考えられた。ホモ欠損個体(Tardbp^-/-)が着床早期に死亡するため、NSE39-Creマウスを用い、神経特異的KOマウス(Tardbp^flox/flox、 NSE-Cre^+)を作成した。神経特異的KOマウスは、メディアン生存期間20日という強い表現型とともに、腰部前角運動神経細胞のクロマトリシス、ミトコンドリア形態変化など、ALSの病理学的変化の特徴を認めた。
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研究課題/領域番号:22113506
2010年 - 2011年
制度名:科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型))
研究種目:新学術領域研究(研究領域提案型)
提供機関:文部科学省
小野寺 理
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:5980000円 ( 直接経費:4600000円 、 間接経費:1380000円 )
ALSの原因遺伝子としてfused in sarcoma/translated in liposarcoma(FUS/TLS)やTDP-43が見いだされた.これらの遺伝子の発見は,ALS研究において新たな病態機序を提唱するに至った.驚くことに,何れの遺伝子もRNA結合能を持ち,RNA代謝において機能すると考えられている.さらに何れの蛋白質も,天然変性蛋白領域を高頻度で含んでいること,さらにその変性領域に変異が集中している.特にTDP-43は現在まで30種類以上の変異が報告されているが,そのほとんどすべてがC末の本来的に不規則な領域に集中している.またC末は単独では凝集体を形成しやすい.このため,これらの蛋白質の天然変性領域の機能を明らかにすることが,本症の病態解明において重要である.しかし,この天然変性蛋白領域の機能については全く明らかとなっていない.我々はTDP-43には新しい多数のスプライシングバリアントが存在し,このスプライシングバリアントの多くが天然変性蛋白領域に関係していることを見いだした.この事実からTDP-43の天然変性蛋白領域はTDP-43の安定性に深く寄与しており,これを欠くTDP-43のスプライシングバリアントは凝集性を増すことを見いだした.この発見により,TDP-43の天然変性蛋白領域の本症への関与が示された.
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TDP43の病態機序に基づいたALSの血中バイオマーカーの単離
研究課題/領域番号:22659169
2010年 - 2011年
制度名:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
研究種目:挑戦的萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3190000円 ( 直接経費:2800000円 、 間接経費:390000円 )
ALSの病態機序にTDP-43が深く関与している.我々はTDP-43の機能喪失が深く関わっていると考え研究を進めている.これを明かとし,この機能喪失時に起こる変化を本症のマーカーとして開発することを目的とした.まず、ヒトグリア由来細胞であるU87さらにヒト神経芽細胞腫由来のSH-SY5Y用い、TDP-43をターゲットとしたRNA抑制法にてTDP-43を効率よく減少させる系を確立した。本方法により、TDP-43を極めて効率よく発現を抑制できることが確認できた。確立した方法を用い培養細胞を用い、エクソンアレイ(選択的スプライシングの検索)、及びジーンアレイ(発現量の検索)を用い、特定のエクソンの発現の変化、もしくはmRNA量の減少が認められないか検討した。その結果、複数の培養細胞において特定の遺伝子のスプライシングの変化を同定した。このスプライシング変化が、ALS患者組織にて変化していることを検討した。その結果、ALS患者、脊髄、大脳にて、特定の遺伝子のスプライシング変化が起こっていることを確認した。さらにALS患者運動神経細胞をレーザーマイクロダイセクション法にて取り出し、運動神経細胞でも同様にスプライシング変化が起こっていることを見いだした。この成果は、ALS患者罹患組織でTDP-43機能が減少していることを示した物である。さらに、この遺伝子のスプライシング変化は正常ではほとんど認めないため、この遺伝子のスプライシング多様体が、本症の病態を反映するバイオマーカーとなる可能性が示された。
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遺伝性脳小血管病の病態機序の解明と治療法の開発
2010年 - 2011年
制度名:平成22年度難治性疾患克服研究事業(新規)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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遺伝性脳小血管病の病態機序の解明と治療法の開発
2009年
制度名:難治性疾患克服研究事業(二次公募)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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ポリグルタミン病治療予測マーカーの探索:Lプラスチンの動態について
研究課題/領域番号:20500322
2008年 - 2010年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(C))
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:文部科学省
豊島 靖子, 小野寺 理, 高橋 均
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
ポリグルタミン病であるDRPLAおよびHD病患者の脳においL-plastinの量が増加していることを実際に確認したことから、これを治療予測因子として利用できる可能性について検討を加えた。ポリグルタミン病患者では剖検時凍結組織(肝臓、腎臓)ではWestern blotting上、やや発現が増加している傾向があった。また、増大ポリグルタミン鎖発現細胞系を用いた実験では,L-plastinは初期には蓄積せず,数週間の経過で細胞内に蓄積していくことを観察した。
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筋萎縮性側索硬化症とTDP-43:その病理像の全貌と分子病態機序の解明
研究課題/領域番号:20240037
2008年 - 2010年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(A))
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:文部科学省
高橋 均, 譚 春鳳, 豊島 靖子, 小野寺 理, 譚 春鳳, 柿田 明美, 崎村 建司, 桑野 良三, 横山 峯介
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:37440000円 ( 直接経費:28800000円 、 間接経費:8640000円 )
我々は、臨床病理学的並びに免疫組織化学的に筋萎縮性側索硬化症剖検例を検討し、孤発性ALS、は広汎な部位の神経細胞及びグリア細胞の双方を侵すTDP-43プロテイノパチーであることを示した。また、TDP-43遺伝子改変マウスを作製し、ヒト患者凍結脳と併せ分子生物学的解析を行った結果、ALSは"TDP-43の機能としての他の遺伝子に対する選択的スプライシングの異常、あるいはTDP-43自身への選択的スプライシングの異常"によって引き起こされる可能性を示唆する今後に向けた予備的データを得ることができた。
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核内小体機能不全による非翻訳リボ核酸の異常による運動神経細胞死の研究
研究課題/領域番号:20659139
2008年 - 2009年
制度名:科学研究費補助金(萌芽研究, 挑戦的萌芽研究)
研究種目:萌芽研究, 挑戦的萌芽研究
提供機関:文部科学省
小野寺 理
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3200000円 ( 直接経費:3200000円 )
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態機序は不明であり,有効な治療法はない.治療法開発には運動神経細胞死の病態機序の解明が必須である.ALS患者の神経細胞にはTDP-43の異常蓄積が認められる.TDP-43は核蛋白であり,他の核内小体であるCajal小体,Gemと共局在する.興味深いことに,これらの核内小体には,遺伝性運動神経細胞死を来たす原因遺伝子であるSMNとアプラタキシンも局在する.このことから運動神経細胞死において核内小体が重要な役割を果たすと考え,これを検証する.具体的には,神経細胞死においてCajal小体を始めとする核内小体の挙動を検討する.さらに,核内小体が,その成熟に関与する非翻訳RNA(ncRNA)の量的変化を解析する.対象は孤発性ALS,TDP-43変異をもつ家族性ALS,TDP-43欠損マウス,変異TDP-43導入マウス,アプラタキシン欠損マウスとする.ALS患者において,Cajal小体の数,ncRNAの解析を行い,それらが有意差をもってALS群の患者運動神経細胞,神経組織で低下していることを示した.
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研究課題/領域番号:19390236
2007年 - 2009年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(B))
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:文部科学省
小野寺 理, 高橋 俊昭, 小澤 鉄太郎, 豊島 靖子
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:15990000円 ( 直接経費:12300000円 、 間接経費:3690000円 )
私たちは本邦で最も多い劣性遺伝性脊髄小脳変性症であるAOA1/EAOHの原因遺伝子APTXを単離し,その機能を解析してきました.DNAは自然に損傷し,その維持のためには絶えず修復する必要があります.損傷したDNAの断端は修飾をうけるため,このままでは修復にとって障害となります.私たちはAPTXがこの損傷した断端を修復する活性を持つことを明らかにしました.この事により,本症の病態を明らかにしました.
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多系統萎縮症の病理学的強調部位を決定する分子遺伝学的要因の検討
研究課題/領域番号:19590983
2007年 - 2008年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(C))
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:文部科学省
小澤 鉄太郎, 高橋 均, 小野寺 理
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:1430000円 ( 直接経費:1100000円 、 間接経費:330000円 )
本邦の多系統萎縮症(MSA)症例における病理学的サブグループの内訳を明らかにする目的で, 連続した50例のMSA剖検例において, 既報の方法(Ozawa T, et al. Brain 2004 ; 127 : 2657-2671)を用いて黒質線条体優位型, オリーブ核橋小脳優位型, 両病変同等型の分類を行った. 検索した50例のMSA剖検例における病理学的サブグループの内訳は, 黒質線条体優位型は18%, オリーブ核橋小脳優位型は40%, 両病変同等型は42%であった. この結果は, 日本人MSAでは臨床的にMSA-Cの頻度が優位であるとする報告を病理組織学的な観点から裏付けるものと考えられる. さらに, 黒質線条体優位型の頻度が比較的高い英国人MSAにおける病理学的サブグループの内訳とかなり異なる結果となり, MSAサブグループの病変分布の特徴において, 地域あるいは人種間の差違が存在する可能性がある.
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研究課題/領域番号:17019006
2005年 - 2009年
制度名:科学研究費補助金(特定領域研究)
研究種目:特定領域研究
提供機関:文部科学省
辻 省次, 後藤 順, 高橋 祐二, 百瀬 義雄, 小野寺 理, 村山 繁雄, 後藤 順, 高橋 祐二
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:781600000円 ( 直接経費:781600000円 )
本研究は,大規模ゲノム解析に基づき,遺伝性及び孤発性神疾患の病因遺伝子及び病態機序の解明を進め,疾患の予防や治療に向けて結び付けていくことを目的とした.単一遺伝子疾患から多因子疾患まで幅広く研究対象として研究を進めた.単一遺伝子疾患家系,多発家系に対して,DNA microarrayを用いたハイスループット連鎖解析システムを構築し多くの疾患の研究に応用した.単一遺伝子疾患については, cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy (CARASIL)の病因遺伝子の同定を達成した.多因子疾患については,パーキンソン病について,オッズ比の非常に高い疾患感受性遺伝子を同定し,common disease-multiple rare variants仮説へのパラダイムシフトの重要性を提唱した.
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内在性蛋白質分解カスケードの賦活によるポリグルタミン病の治療戦略
研究課題/領域番号:17300109
2005年 - 2007年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(B))
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:文部科学省
山田 光則, 小野寺 理, 高橋 均
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:11920000円 ( 直接経費:10900000円 、 間接経費:1020000円 )
下オリーブ核神経細胞の二次性肥大反応における発現遺伝子群から,ポリグルタミン病の変異蛋白質の分解に関わる分子種を探索した.マウスに片側性の下オリーブ核肥大を惹起させ,非肥大側を対照としたmRNA発現遺伝子解析を行い,約36,900種の遺伝子中,肥大側で約890種(2.41%)の発現増加、約530種(1.44%)の発現低下を明らかにした.さらに,肥大側と対側で蛋白質発現の差異をEttan^<TM>DIGE(2-D Fluorescence Difference Gel Electrophoresis)システムにより検討した.この結果,肥大側優位に発現が増加している蛋白質を4種類特定し得た.2種はアデノシン三リン酸合成酵素に関連する分子であり,ヒトおよびマウスの下オリーブ核肥大神経細胞において発現の充進が認められた.伸長ポリグルタミン鎖を含む変異蛋白質が核内蓄積した病的神経細胞では有意な発現亢進は認められず,当該分子の発言は下オリーブ核神経細胞の二次性肥大反応に関連したものと示唆された.他の2種類のうち1種類はカルシウム結合蛋白であり,ヒト剖検脳では正常の下オリーブ核神経細胞は陰性であったが,肥大神経細胞では胞体内にびまん性の陽性像が得られた.この変化はDRPLAおよび対照例の下オリーブ核肥大で共通に観察されたことから,ポリグルタミン病に特異的な反応ではなく,神経細胞の肥大現象に関連した分子発現と思われた.一方,実験的に片側性下オリーブ核肥大を作成したマウス(作成1ヶ月後)の脳組織では,ヒト脳で観察されたような明確な陽性像はこれまで得られなかった.
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内在性相補鎖RNAによる遺伝子発現調節機構に注目したシヌクレイン関連蛋白の解析
研究課題/領域番号:16659229
2004年 - 2005年
制度名:科学研究費補助金(萌芽研究)
研究種目:萌芽研究
提供機関:文部科学省
小野寺 理, 柿田 明美
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2800000円 ( 直接経費:2800000円 )
多系統萎縮症(MSA)は本邦に一万人程の罹患患者がいると考えられるが,その原因および有効な治療戦略は提案されていない。本症はGlial Cytoplasmic Inclusion(GCI)というα-synucleinからなる神経細胞内封入体を特徴とする。α-synucleinが主成分である神経細胞内封入体にはパーキンソン病で認められるLewy小体があるがGCIではsynphilin-1の存在が特徴的である。このことからsynphilin-1とシヌクレイン関連蛋白の関与が疑われている(Acta Neuropathol 2002 103)。我々はこれらの遺伝子の特定のハプロタイプが疾患感受性を規定すると考え,synphilin-1を含むシヌクレイン関連遺伝子のMSA患者群におけるSNPsとEM法を用いたハプロタイプ解析を行った。しかし,これら遺伝子の翻訳領域のハプロタイプ解析では疾患群と対照群で差を見いだすことはできなかった。今年度はsynphilin-1近傍のマーカーにて,有意差を認める領域を同定し,本領域の一塩基置換が,疾患の発症との関与を示した.
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新しいポリグルタミン病:その病理組織学的発見から原因遺伝子の同定へ
研究課題/領域番号:16390104
2004年 - 2005年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(B))
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:文部科学省
高橋 均, 豊島 靖子, 山田 光則, 小野寺 理
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:6000000円 ( 直接経費:6000000円 )
臨床的、病理組織学的にこれまで報告のない小脳変性症の3家系、3剖検例について臨床症状、および病理組織学的所見を検討した結果、それぞれが独自の臨床症状を呈し、中枢神経系の障害部位が明らかに異なり、1C2免疫染色によって陽性となる多数の核内封入体もまた、それぞれ特徴ある分布で存在していることを確認した。そのうち、1家系1剖検例でSCA17のホモ接合体であることが判明した。SCA17ホモ接合体の報告はこれまで全くなく、臨床病理学的所見と併せ、報告した。当研究所ではすでに、胎児脳cDNAライブラリーより単離された300個以上の新規クローンに基づく、増大CAG繰り返し配列を持つcDNAシークエンスとプライマーセットを開発しており、これを用いた未解明神経変性疾患の大規模スクリーニングシステムが確立している。未知の2家系についてはこれらのヒト脳で発現している増大ポリグルタミン鎖について増大の有無を確認したが、その異常伸長を認めたものはない。さらに未知の2家系中の1家系では通常のウエスタンブロッティング法により、1C2により染色される蛋白の存在を確認していたが、同サンプルの2次元電気泳動と2次元のウェスタンブロッティングを行うことで、原因蛋白(ポリグルタミンを有する)と考えられるスポットを複数同定するに至った。同定したいくつかのスポットを単離し、MALDI-TOF MS(当研究所備品)を用いてポリグルタミン鎖を持つペプチドの周辺アミノ酸配列を決定した。単離したスポットには短いポリグルタミン鎖を有する蛋白が含まれていた。
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研究課題/領域番号:15390272
2003年 - 2004年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(B))
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:文部科学省
小野寺 理, 小宅 睦郎, 五十嵐 修一
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:14900000円 ( 直接経費:14900000円 )
1.増大ポリグルタミン鎖の転写障害機序の時間軸の解明(小野寺)テトラサイクリンで発現誘導可能な、ポリグルタミン鎖含有蛋白の、安定発現系を開発した。この系を用い、増大ポリグルタミン鎖が、発現誘導を受けたのち引き起こされるCREB依存性の転写障害の時間軸を明らかとし,CRE配列依存性の転写障害が極めて早期から引き起こされること,凝集体の形成とは関連がないことを明かとした.さらにこの安定発現系の解析から,増大ポリグルタミン鎖が早期からUPS系に障害を引き起こすことを明かとし,かつ,増大ポリグルタミン鎖の細胞内代謝が遅延していることを明らかとした.加えてこの転写抑制に先行する、増大ポリグルタミン鎖の初期変化を可視化することに成功した。2.アプラタキシンの機能の解明(五十嵐)ヒトAPTXはXRCC1と結合することを我々は明らかとした.この関係より、まずNERに関係する他の蛋白(polynucleotide kinase phosphatase(PNKP), poly(ADP-ribose)polymerase, DNA-polymerase-β,DNA ligase IIIα)との結合の有無を、免疫沈降法にて確認し,APTXがpoly(ADP-ribose)polymeraseと複合体を形成することを明らかとした。さらにAPTXの新規機能を明らかとした。3.アプラタキシンノックアウトマウスの解析(小宅)キメラマウスよりホモ接合体を作成した。XRCC1など多くのDNA異常修復関連蛋白のノックアウトマウスホモ接合体は胎生致死であることが知られている。しかし、得られたAPTXホモマウスは胎性致死ではなかった.現在まで(2年)表現型を表してはいない。この線維芽細胞はDNA損傷を誘発する薬剤に対して脆弱性を示すことを明らかとした。
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研究課題/領域番号:14207029
2002年 - 2003年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(A))
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:文部科学省
辻 省次, 小宅 睦郎, 小野寺 理, 後藤 順
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:39650000円 ( 直接経費:30500000円 、 間接経費:9150000円 )
これまでの研究で,眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症(early-onset ataxia with ocular motor apraxia and hypoalbuminemia, EAGH)の病因遺伝子を同定してアプラタキシン(aprataxin)遺伝子と命名した.本研究は,アプラタキシンの生理的機能を明らかにし,EAOHの病態機序を解明し,治療法開発のための基盤を作ることを目的とする,これまでの研究で,alternative splicingによって生成される2種類のアプラタキシンmRNA (short formおよびlong form)について,long form aprataxinが主要なisoformであること,核内に存在するタンパクであること,その核内局在にはN末端近くの核移行シグナルが重要であることを証明した.aprataxinの生理的機能については,long form aprataxinが,XRCC1 (X-ray repair cross-complementing group 1)と結合すること,aprataxinがpolynucleotide kinase 3' phosphataseに相同性を有することから,1本鎖DNA修復に関与する可能性が考えられ,5'-kinase活性,3'-phophatase活性を測定する実験系を構築して解析を行い,aprataxinが5'-kinase活性,3'-phosophatase活性を有することを証明し,本タンパクが神経系で働く新たな一本鎖DNA修復酵素として働いていることを証明した.
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ポリグルタミン病のDystrophic Neuritesの神経細胞障害機序の研究
研究課題/領域番号:13670635
2001年 - 2002年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(C))
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:文部科学省
小野寺 理, 小宅 睦郎
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:3600000円 ( 直接経費:3600000円 )
今まで、我々は長さ依存性にかつ閾値をもってポリグルタミン鎖が凝集体を作ること、この凝集体形成が周辺のアミノ酸配列により強く影響を受けることを明らかとしてきた。さらに、この凝集体がCOS細胞の細胞質内ではMTOC(microtubules organizing center)に形成されintermediate filamentsと密接な関連があることを明らかとしてきた。またmicrotubules networkを破壊してもaggregationは形成されるがMTOCへの集積は認めず、核近傍のaggregationが形成されるためにはmicrotubules networkを介した移送が必要であることを明らかとした。この現象は細胞内unfolding Protein分解機構であるaggresomeと同じ性質を有している。これらの実験により増大ポリグルタミン鎖のCOS培養細胞内での処理過程は明らかとなった。さらに細胞内での不要蛋白処理機構を確認するために、数種類の異なる長さの増大ポリグルタミン鎖を有したstable inducible cell lineをNeuro2a、HEK293で作製した。この細胞株はFlp-inシステムを用い、全く同一のShgle integration siteへの導入株であるため、他の要因を可能な限り除去して確認できる系である。この系を用い、増大ポリグルタミン鎖の細胞内代謝が長さ依存性に影響を受けていることが確認されている。今後、その細胞内代謝の違いが細胞機能に与える影響について軸索輸送を含めさらに検討を加える予定である。
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研究課題/領域番号:12210008
2000年 - 2004年
制度名:科学研究費補助金(特定領域研究(C), 特定領域研究)
研究種目:特定領域研究(C), 特定領域研究
提供機関:文部科学省
辻 省次, 小宅 睦郎, 成瀬 聡, 小野寺 理, 清水 潤, 後藤 順, 高橋 祐二
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:244200000円 ( 直接経費:244200000円 )
ポリグルタミン鎖をコードするCAGリピートの異常伸長によって発症する疾患は,歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)を始めとして現在9つの神経変性疾患が見いだされており,神経細胞の変性に関して共通の発症機構が存在するものと考えられる.本研究では,全長のヒト変異DRPLA遺伝子を単一コピーで導入したトランスジェニックマウスを作成し,ヒトにおける病態機序をよく反映するモデルマウスを確立した.このモデルマウスにおいては,神経細胞死は観察されないこと,病態機序の本質が,伸長ポリグルタミン鎖を有する変異DRPLA.タンパクの核内集積とその結果としての核の機能障害であることを見出した.核の機能障害については,培養細胞系を用いた,レポーター遺伝子による解析,内在性のcAMP応答遺伝子を指標にした解析から,CREB-依存性の転写活性化の障害を見出した.さらに,Q76,Q113,Q129の3種類のDRPLAマウス(変異DRPLA遺伝子を同一のintegration siteで,単一コピーで有する)を用いて,4週,8週,12週で詳細な遺伝子発現プロファイリングを行い,2-way ANOVAに基づき,CAGリピート長,時間依存性に発現が有意に変化する遺伝子を,多数同定した.この発現量が時間依存性,CAGリピート長依存性に低下する遺伝子群の中には,c-FOS, EGR-1,preprosomatostatin, neuropeptide Yなど,CERB-依存性転写活性化が関与する遺伝子が含まれており,ポリグルタミン病においてCREB-依存性転写活性化が障害されていること,その緩和が治療法開発のターゲットになることを示した.
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研究課題/領域番号:12307014
2000年 - 2001年
制度名:科学研究費補助金(基盤研究(A))
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:文部科学省
辻 省次, 小野寺 理, 小林 央
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:34980000円 ( 直接経費:31200000円 、 間接経費:3780000円 )
本研究においては,遺伝性神経変性疾患の発症機構として,CAGリピートの異常伸長に焦点を当て,1.CAGリピートの異常伸長による疾患を同定するためのアプローチ,2.CAGリピートの異常伸長による神経細胞の変性機構を解明することを目的に研究を行った.1.CAGリピート病の侯補遺伝子を検索するアプローチとして,脳で発現している遺伝子の中でCAGリピートを有する遺伝子群に着目して,遺伝子クローニングを行った.その結果,CAGリピートを有するcDNAとして,重複クローンを除いて,92個の独立したクローンを得た.これらのcDNAクローンの中で,CAGリピート数が10以上のものを疾患候補遺伝子と考え,41個のクローンについて,primer pairを設定して,PCR条件の設定を行い,病因遺伝子不明の遺伝性神経変性疾患症例のパネルを用いて,候補疾患遺伝子として検索を続けている.2.CAGリピートの異常伸長による遺伝性神経変性疾患の病態機序については,変異タンパクの核移行と核内集積による核の機能障害の実態を明らかにすることを目的に,われわれがこれまでに作成したDRPLAトランスジェニックマウス(Q129マウス)を用いて,遺伝子転写障害について検討を行った.DNA chipによる解析を行った結果,down-regulationされている遺伝子として78遺伝子,up-regulationされている遺伝子として16遺伝子を同定した.これらの遺伝子の転写障害の程度は時間依存性に顕著になることを見出した.down-regulationされている遺伝子の中にはcAMP応答遺伝子群が多数含まれており,これまで見出した,伸長ポリグルタミン鎖によるCREB-依存性転写活性化の障害機構を支持するものであった.
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ポリグルタミン病における凝集体と神経細胞死の関連の解明と凝集体阻害剤の探求
研究課題/領域番号:11770325
1999年 - 2000年
制度名:科学研究費補助金(奨励研究(A))
研究種目:奨励研究(A)
提供機関:文部科学省
小野寺 理
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:2100000円 ( 直接経費:2100000円 )
遺伝性脊髄小脳変性症の内、現在8疾患がCAG繰り返し配列によりコードされる増大したポリグルタミン鎖により引き起こされることが明らかとなっている。これらの疾患ではCAGリピート数の増加に伴い発症年齢が若年化する傾向が知られているが、同じCAGリピート数でも疾患間で発症年齢が異なる。この理由については明らかにされていない。昨年度、我々はポリグルタミン鎖周辺のアミノ酸配列が増大ポリグルタミン鎖の凝集体形成能に影響を与える可能性を考え、truncated ataxin2,huntingtin,DRPLAP,ataxin3においてその凝集体形成能の違いと,凝集体形成能に及ぼす周辺アミノ酸配列の影響,及び個々のポリグルタミン病との関連を検討しCAGリピートの長さ依存性に34から36リピート間に閾値を持って凝集体形成能の増加を認めること、56CAGリピートを共通に含むtruncated ataxin2,huntingtin,DRPLAP,ataxin3の発現ではtruncated ataxin2及びhuntingtinがtruncated DRPLAP及びataxin3に比べ高率な凝集体形成能を示し、ヒトでの疾患重症度との傾向と相関することを報告した。今年度は同蛋白の凝集体形成能を変異を導入することにより変化させることができるか否かをtrancated ataxin2の変異導入体を用い検討した。凝集体形成能には周辺アミノ酸配列の疎水性が大きく関与していることが疑われたため,疎水性アミノ酸を親水性アミノ酸に変えた変異体を作成し、その凝集体形成能を検討した。その結果親水性アミノ酸導入変異体では凝集体形成が強く抑制された。この結果は増大ポリグルタミン鎖の凝集体形成能が僅かなアミノ酸変異により変化得る可能性を示している.
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Neurodegenerative diseases
資金種別:競争的資金