共同研究・競争的資金等の研究 - 小野寺 理
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脳小血管の細胞外基質の摂動を起こす細胞群の同定と、その制御機構の解読
研究課題/領域番号:22H00466
2022年4月 - 2025年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 加藤 泰介, 塚田 啓道, 齋藤 理恵
配分額:42510000円 ( 直接経費:32700000円 、 間接経費:9810000円 )
本研究では、非遺伝性の脳小血管病(cSVD)で、細胞外マトリックス摂動の原因を細胞レベルで、時空間情報で同定する。その情報から、その変化が、周辺の細胞や、環境に、どのように影響するのか、組織上の相互関係を顧みあきらかとする。これを通じて、加齢とcSVDの関係を明確にする。また得られた一細胞あたりの時空間トランスクリプトーム情報から、微小環境での加齢性の血管変化のモデルを作製する。これを用い様々な介入による、細胞外マトリックス摂動の改善効率をシミレーションする。手法の正しさはモデルマウスにても検証する。このため、一細胞トランスクリプトーム解析と、時空間トランスクリプトーム解析を融合し、細胞外マトリックスの摂動の原因となっている細胞群について、その組織内での部位の決定を目的としている。今年度は、1)マウス脳小血管での定量プロテオミクスを行い、その血管に蓄積しているタンパク質を同定し、免疫組織化学方にて、実際の集積の有無を検討した。同時に、血管を用い、ウエスタンブロッティング法にて、タンパク質の蓄積の有無を検証した。この結果新たなコラーゲンのヒト加齢血管への蓄積を見出した。2)細胞外マトリックス構成分子の摂動をもたらす細胞群の同定では:単離した血管のシングルセルRNA解析にて、細胞のプロファイルを得ることを目的地した。対象はCARASILモデルマウスのカンデサルタン投与とアムロジピン投与とした。部位は、くも膜血管が混入無く単離できるため、まず、この血管で行った。既報の、マウスの脳小血管のRNAプロファイルと比較し、細胞腫の同定を行った。その結果、疾患群で増加し、カンデサルタン投与にて正常化する、ある少数の細胞群を同定し、そのプロファイルが、既報のある細胞群と一致していることを見出した。
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脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムとALS病態の関連
研究課題/領域番号:19H03543
2019年4月 - 2023年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
矢野 真人, 小野寺 理, 矢野 佳芳
配分額:16250000円 ( 直接経費:12500000円 、 間接経費:3750000円 )
本研究は、運動ニューロンに特徴的な発現を示すRNA結合蛋白質を選別し、得られたRNA結合蛋白質を機能解析をする事で、脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムを解明し、その生理的機能及びALSなどの運動ニューロン病の病態との関連性を明らかするものである。我々は、これまで約1500種類存在すると言われるRNA結合蛋白質の中で、Qki5蛋白質が運動ニューロン特異的な発現を示す唯一のRNA結合蛋白質であることを見出した。次に、我々が行ってきた生体内RNA結合蛋白質機能解析戦略である1塩基解像度の蛋白質-RNA相互作用マッピング解析HITS-CLIPとRNAシーケンス技術にマウス遺伝学を組み合わせた解析を実施し、脊髄運動ニューロン固有のRNA制御プログラムを解明し、Qki5の生理的機能及び病態との関連性の解析を進めている。これまでに、発生段階および成体の脊髄における免疫組織学的解析を行い、Qki5蛋白質が神経細胞の中で運動ニューロンにおいてのみ発現する特徴的な発現パターンを有していることが明らかとなった。さらにヒトiPS細胞由来神経細胞を用いたシングルセルトランスクリプトーム解析を行ったところ、免疫組織学的解析で得られた特徴的なパターンと一致し、Qki5の発現は、運動ニューロン特異的分子isl-1遺伝子と同じクラスターに存在していることが明らかとなった。さらに、Qki5のHITS-CLIP解析およびQki5をノックダウンさせた運動ニューロンを用いたトランスクリプトーム解析を実施し運動ニューロン固有の標的下流RNA群の探索を行い、新たなQki5の標的遺伝子群や新規のCryptic exonの発見、また運動ニューロン変性と密接に関わる標的遺伝子群を同定することができた。運動ニューロン特異的CreドライバーマウスとQk遺伝子のコンディショナル欠損マウスを交配し、分子生物学的解析、組織学的解析および行動学的解析による表現型解析を進めている。
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脳の排泄経路の解明による加齢性脳疾患へのアプローチ
研究課題/領域番号:19H01043
2019年4月 - 2022年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 上村 昌寛, 五十嵐 博中, 今野 卓哉, 加藤 泰介, 清水 宏, 金澤 雅人
配分額:45500000円 ( 直接経費:35000000円 、 間接経費:10500000円 )
HTRA1欠損マウスが、脳小血管の加齢性変化と類似するモデル動物となることを見出した。定量的DIAプ ロテオミクスとGO解析にて、その主体が細胞外基質、マトリゾームの異常であり、ハブ蛋白としてフィブロネクチンを起点と していることを見出した。フィブロネクチンの蓄積は加齢性の脳小血管変化でもよく認める変化である。これをカンデサルタンが抑制することを見出した。また、合わせ て、脳血流、血管拡張性の低下をもたらしていることを見出した。さらに、それがカンデサルタン投与で改善する事も見出した。脳内タンパク質のホメオスタシスに、細胞外プロテオスタシス機構が大きな役割を果たしていることを明確とした。
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成人発症白質脳症の実際と有効な医療施策に関する研究班
2018年 - 2020年
制度名:領域別基盤研究分野における難病の医療水準の向上や患者のQOL向上に資する研究(30080201)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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アストロサイトを侵すタウオパチー:タウの病理多様性とアストロサイト多様性の関係
研究課題/領域番号:17H03554
2017年4月 - 2020年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 小野寺 理, 加藤 泰介, 田中 英智, 豊島 靖子
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
本研究では、4-リピートタウオパチーであるPSPとCBDにおける病的アストロサイトの分子生物学的特性を解明するとともに、アストロサイトに特徴のあるタウの蓄積を示す新たな疾患群の有無を検討した。前者については、細胞範囲の選択的・的確な同定と良質なサンプル調整が困難であり、中途、断念せざるを得なかった。後者については、globular glial tauopathy (GGT)の6例を同定し、病理学的に明確にII型 (n=3)、III型 (n=3)に分類可能であること、両者間においてアストロサイト内タウ蓄積の過程に相違のあること、一方で、蓄積タウの生化学的性状はPSPに類似していることを示した。
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ポリグルタミン病に対する蛋白質凝集阻害薬の開発(大阪大学B-49)
2017年 - 2019年
制度名:シーズB
提供機関:医療研究開発推進事業費補助金
小野寺理
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ゲノム編集を用いた優性遺伝性中枢神経疾患の治療方法の開発
2017年 - 2019年
制度名:【IRUD Beyond+ゲノム編集】希少難治性疾患・未診断疾患領域における革新的開発候補物の非臨床POC確立を目指す研究
提供機関:日本医療研究開発機構研究費
小野寺理
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TGF-βシグナルを標的にしたCARASILの新規治療シーズの探索
2017年 - 2019年
制度名:希少難治性疾患に対する画期的な医薬品医療機器等の実用化に関する研究:薬事承認を目指すシーズ探索研究(ステップ0)
提供機関:日本医療研究開発機構研究費
小野寺理
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研究課題/領域番号:16H02656
2016年4月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 豊島 靖子, 加藤 泰介, 小山 哲秀, 野崎 洋明
配分額:46670000円 ( 直接経費:35900000円 、 間接経費:10770000円 )
認知症の克服は喫緊の課題であり、脳血管性認知症は主因の一つである。この病変として、脳の小血管が注目され脳小血管病と称される。この病態として、近年、神経活動依存性血流調節機構の障害が唱えられている。しかし、その分子病態は不明である。我々は遺伝性脳小血管病の原因遺伝子HTRA1を単離し、本症が組織増殖因子シグナルの亢進によることを明らかとした。さらに、非遺伝性の脳小血管病類似の平滑筋・周皮細胞の変性を伴うマウスにて脳小血管病の分子病態、特に、組織増殖因子シグナルによる小血管障害機構を明らかとした。
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孤発性タウオパチーに相関するタウ遺伝子多型の生化学的意義のゲノム編集を用いた解明
研究課題/領域番号:16K15479
2016年4月 - 2018年3月
制度名:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
研究種目:挑戦的萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
タウの蓄積を認める疾患では,タウ遺伝子多型との相関が知られている.しかし,これらの多型の意義付けは解析が困難であった.CRISPR-Cas9法を応用したCORRECT法にてタウ疾患関連の遺伝子多型を導入し,タウ遺伝子の発現量,スプライシングへの影響を明らかとする.ゲノム編集導入率は標準的な方法で1%であっ た物を4.5%まで向上させた.しかし、効率は低く、遺伝子によって著しく異なる可能性があることを明らかとした.作成した細胞を用いてMAPTのスプライシング効率を検討したところ,4R/3Rtau比が増加している事を確認した.この細胞系は,薬剤のスクリーニングに応用可能である。
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重合体形成阻害を標的としたポリグルタミン病の新規治療法開発
研究課題/領域番号:16K09670
2016年4月 - 2018年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
他田 正義, 小野寺 理
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
(1) 重合体形成阻害を分子標的としたモデル線虫による薬剤スクリーニング:初期スクリーニングで得られた約300の候補薬の中から既に本邦で臨床使用されている25薬剤を抽出し、ポリグルタミン病モデル線虫を用いて治療効果を検討した。その結果、6薬剤がモデル線虫の封入体面積・総数を有意に減少させた。この中で、既に広く臨床使用されている QAI-39095 に注目し、モデル線虫の表現型解析および生化学的解析を行った。QAI-39095投与により、封入体数・面積の減少、運動能の改善、寿命の延長、重合体量の減少が生じることを確認した。
(2) マチャド・ジョセフ病患者由来線維芽細胞からのiPS細胞の樹立:熊本大学発生医学研究所の協力を得て、SCA3患者2名の皮膚組織からiPS細胞の樹立を試みたが、不成功に終わった。
(3) 小脳性運動失調の新たな定量評価法の開発:iPad を用いた上肢運動機能評価システム iPatax (iPad Application for Evaluating Ataxia) を開発した。健常者および小脳失調症患者を対象とした解析で、視標追跡課題における速度の変動係数が小脳性運動失調の臨床重症度と高い正の相関を示すことを明らかにした。さらに、脊髄小脳変性症 (SCD) 患者の自然歴や治療効果判定に iPatax視標追跡検査が有用であることを示した。また、Kinectセンサーを用いた3次元歩行解析システムを開発した。
(4) 患者に対する治療介入試験:SCD患者29例を対象として、禁煙薬であるバレニクリン酒石酸塩の有効性と安全性を検討した。8週間の服用で嘔気を7例 (24.1%) に認めたが、重篤な副作用は認めなかった。高用量群(2mg/日)と低用量群(0.5mg/日)の2群比較において、8週間の服用により、高用量群では低用量群に比して臨床評価スケールSARAの歩行項目が有意に改善した。また、治療効果判定に iPatax視標追跡検査が有用であることを示した。 -
成人発症白質脳症の医療基盤に関する調査研究班
2016年 - 2017年
制度名:領域別基盤研究分野(客観的な指標に基づく疾病概念が確立されている疾病が対象)(28080401)
提供機関:厚生労働科学研究費補助金
小野寺理
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脳タンパク質老化と認知症制御に関する国際共同研究を加速するための国際活動支援
研究課題/領域番号:15K21714
2015年11月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
研究種目:新学術領域研究(研究領域提案型)
提供機関:日本学術振興会
祖父江 元, 谷内 一彦, 高島 明彦, 長谷川 成人, 小野寺 理, 岡野 栄之, 佐原 成彦, 足立 弘明, 安藤 香奈絵, 赤松 和土, 内山 圭司, 太田 悦朗, 岡田 洋平, 小野 正博, 貝淵 弘三, 加藤 孝一, 坂口 末廣, 田井中 一貴, 高橋 良輔, 田中 洋光, 永井 義隆, 橋本 唯史, 長谷川 隆文, 濱田 耕造, 深田 正紀, 福田 光則, 古川 良明, 松井 秀影, 水田 恒太郎, 望月 秀樹, 山田 薫, 森下 英晃, 久永 真一
配分額:58760000円 ( 直接経費:45200000円 、 間接経費:13560000円 )
事務局と各種委員会を設置し国際共同研究と交流を推進した。4年間で海外派遣プログラムを43名の研究者が利用し、海外からは計24名の著名な研究者を招聘することで、最新の研究成果に触れると共に情報交換を行った。国際シンポジウムは隔年で2回、また国際ワークショップ、国際タウシンポジウム、合同国際会議等を主催し、国際共同研究やネットワーク形成を推進した。
Frontiers in Neuroscience- Neurodegeneration”として22の論文をeBookとして発表し、領域の研究の国際的アピールに成功した。ホームページ、ニュースレター、活動報告書を通じ、領域の活動を国際的に発信した。 -
ストレス顆粒とオートファジーの蛋白分解クロストークの分子機構
研究課題/領域番号:15H04704
2015年4月 - 2018年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究種目:基盤研究(B)
提供機関:日本学術振興会
藤井 雅寛, 小野寺 理, 小松 雅明, 高橋 雅彦, 蔭山 俊, 原 敏文, 樋口 雅也, 齋藤 孔良, 小山 哲秀, 葛城 美徳, 垣花 太一
配分額:16900000円 ( 直接経費:13000000円 、 間接経費:3900000円 )
USP10はストレス顆粒の形成に重要な役割を果たす。全身性のUSP10欠損マウスを樹立した。USP10欠損マウスは汎血球減少症を発症した。USP10欠損マウスでは造血幹細胞のアポトーシスが昂進していた。SCF (stem cell factor)が造血幹細胞のアポトーシスを抑制するが、このSCFによる抑制は、USP10を欠損した造血幹細胞では著明に低下した。USP10の変異体は、脱ユビキチン化酵素活性がUSP10による造血幹細胞アポトーシスの抑制に関与することを示した。以上の結果は、USP10およびストレス顆粒が造血幹細胞の維持に関与することを示唆する。
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新規臨床評価方法によるフォールディング病の化学シャペロンでの病態抑制効果の検討
2015年
制度名:障害者対策総合研究事業(新規)
提供機関:障害者対策総合研究開発事業
小野寺理
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研究課題/領域番号:26117006
2014年7月 - 2019年3月
制度名:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
研究種目:新学術領域研究(研究領域提案型)
提供機関:日本学術振興会
小野寺 理, 柿田 明美
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:113360000円 ( 直接経費:87200000円 、 間接経費:26160000円 )
認知症を引き起こすタンパク質は,老化と共に“特定の神経システム“において“病原性をもったタンパク質へと変遷し蓄積”する.この課程には,“タンパク質の量的,質的な変化"を伴う.タンパク質の量は,産生と分解により制御され,産生はmRNA により,また分解は細胞内の分解機構と,細胞外への排出機構により制御される.我々は,加齢性神経変性疾患を引き起こすTDP-43のRNA代謝機構が乱れていることを見出した.さらに,vivo モデルにてRNA代謝を乱すことで,TDP-43の断片化を引き起こし,かつアポトーシスを誘導することに成功した.
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筋萎縮性側索硬化症とTDP-43:その始まりと広がり方 の分子神経病理学的解明
研究課題/領域番号:26250017
2014年4月 - 2017年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究種目:基盤研究(A)
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 小野寺 理, 豊島 靖子, 他田 真理, 清水 宏, 柿田 明美, 崎村 建司, 池内 健
配分額:39780000円 ( 直接経費:30600000円 、 間接経費:9180000円 )
TDP-43がエクソン6内で複数の選択的スプライシングを行い、その量を自己調節していることを見出した。ALS患者脊髄では、この自己調節に関係するTDP-43 mRNAの比率が増加していることを突き止め、このバリアントがTDP-43陽性の封入体と共局在することを確認した。このことから、この異常蛋白がALS病変のはじまりとなる可能性が示唆された。また、新たなALS側頭葉皮質におけるTDP-43病理像の検討では、3つのタイプ(1, 2a and 2b)の存在が示された。タイプ2bには臨床病理学的特徴が認められ、これらの個々の群は独立したサブタイプであり、かつ、その病理像の間に移行はないと考えられた。
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リン酸化TDP-43病理に準拠した「ALSからみたALSのための病型分類」の提唱
研究課題/領域番号:26640029
2014年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
研究種目:挑戦的萌芽研究
提供機関:日本学術振興会
高橋 均, 豊島 靖子, 他田 真理, 小野寺 理
配分額:3380000円 ( 直接経費:2600000円 、 間接経費:780000円 )
孤発性筋萎縮性側索硬化症の96連続剖検例を対象に、抗リン酸化TDP-43(pTDP-43)抗体を用いて大脳皮質を免疫組織化学的に検討した。これらの症例は海馬歯状回顆粒細胞における陽性細胞質内封入体を欠く群 (ALS-C: n = 63) とそれを有する群 (n = 33) に二分された。さらに、後者の33例は側頭葉新皮質における顆粒状、点状の変性神経突起の多寡により2群(ALS-T/few DNs: n=22; ALS-T/many DNs: n = 11))に分類された。各群の臨床病理所見を考慮すると、これら3群は個々にpTDP-43の脳内・細胞内局在が異なる独立した亜群であるとみなされた。
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人工制限酵素による内在性TDP-43遺伝子改変と筋萎縮性側索硬化症モデルへの応用
研究課題/領域番号:25461271
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
佐藤 俊哉, 小寺 義男, 小野寺 理
配分額:5070000円 ( 直接経費:3900000円 、 間接経費:1170000円 )
Zinc-Finger Nucleaseを用いてTDP-43 C末領域の部分欠損マウス8系統を樹立し、この領域の生理的機能を検討した。150アミノ酸残基からなるC末領域の中央部6アミノ酸までの欠損(A)では、ホモマウスにおいても明らかな異常を指摘できなかったが、C末領域の約半分程度を欠損(B・C)させると致死となった。後半部分欠損(C)と異なり、前半部分欠損(B)では明瞭な変異蛋白を認めたが、核から細胞質に局在が変化し、核蛋白としての機能は失われた。これらの結果から、TDP-43 C末領域の前半部分は機能維持に重要であり、後半部分は蛋白の安定性維持に重要な領域であることが明らかとなった。
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重合体毒性仮説に基づくポリグルタミン病の病態解明と新規治療薬開発
研究課題/領域番号:25461272
2013年4月 - 2016年3月
制度名:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究種目:基盤研究(C)
提供機関:日本学術振興会
他田 正義, 小野寺 理
担当区分:連携研究者 資金種別:競争的資金
配分額:4940000円 ( 直接経費:3800000円 、 間接経費:1140000円 )
ポリグルタミン病において原因タンパクの重合体形成が強い細胞障害性を有し神経変性を惹起するという「重合体毒性仮説」に基づき,重合体形成阻害を分子標的とした新規治療薬の開発を行った.培養細胞システムを用いた大規模薬剤スクリーニングとモデル線虫を用いた二次スクリーニングにより,ポリグルタミン病変異蛋白の重合体形成を阻害し,神経変性を抑制する可能性のある薬剤を見出した.また,臨床試験を成功させるために,iPadを用いた上肢運動機能評価システムを開発し,小脳性運動失調の評価における有用性を明らかにした.さらに,脊髄小脳変性症に対するvareniclineの安全性と有効性を検討する臨床試験を開始した.